2023年のお盆の期間中は台風7号の襲来で生憎のお天気でした。
2018年9月の台風21号では、関西国際空港の連絡橋にタンカーが衝突するなど甚大な被害を受けましたが、今回はその教訓を活かしてか、東海道新幹線は早めに計画運休を実施するなど、先手の対策が目立ちました。
ところが、今回の台風7号は通過後の方が大変でした。
昨日(16日)静岡市内では土砂降りと小降りを繰り返すような形で雨が降り続きました。むしろ台風が最接近した15日よりも雨が強かった印象です。
気象台の記録によれば8月11日から17日午前9時までで、24時間降水量の期間最大値は8月17日の午前3時40分の141.0ミリとなっていますので、データの上からも16日~17日にかけての雨量が多かったことが分かります。
この影響で、16日は東海道新幹線が長時間運休し、16日の列車が今日17日の始発の時間になっても新大阪駅に到着せず、17日も運転見合わせが発生するなど、混乱が尾を引いているようです。
予測の限界もあり致し方ないことですが、事前の対策通りには事が運ばなかったと言えそうです。
事が思うように運ばない。すらすらとはかどらないで、滞ることを渋滞といいますが、SNSで見ているとどうやら深刻な渋滞が発生していたようです。
”すし詰めの車両に何とか乗り込んでドアが閉まり発車を宣言したものの、その場から1時間動かなかった””駅の直前で2時間も止まっていた”といった体験談もあり、線路上で列車が渋滞し、駅のホームでは利用客が渋滞して身動きが取れない状態だったのではと推察します。
以前、行楽シーズンにテレビで”渋滞学”の権威が渋滞予想をするという企画をやっていて面白そうなので見ていたのですが、残念ながら予想通りにはなっていませんでした。
渋滞が起こるファクターは多岐にわたり、「渋滞が発生する」と言う情報を流すだけで、渋滞を抑制する効果もあるのだと言います。
最近は高速道路会社が事前に周知をしたり、ETCの普及もあって料金面での調整を行ったり、速度が低下しないよう、看板を設置して注意を促したり誘導灯で速度感覚を見える化するなどのあの手この手で渋滞を抑制しようとしています。また、自動運転で速度を一定に保ち、車間距離も保持出来れば渋滞は減るのではないかと言った仮説も出てきています。勿論道路を増設するのがいちばん良いのでしょうが、莫大な時間やコストがかかることを考えればこうしたソフトウエア対策も同時並行でやっていく必要があります。
渋滞を起こさないためには、集中が起こらないこと、ボトルネックを作らないことなどが有効な対策になるようです。
道路の渋滞の場合は、車間距離を取って、速度は一定に維持することが具体的な対策になります。
工場のラインを見ていても、工程の間でバッファ(溜め)を設けたりして動作のタイミングの違いや小さなトラブルが直ちにライン全体に波及しないよう、対策が取られているものがほとんどです。
無駄を極限まで省き、効率を徹底的に追求すれば良いかといえばそうでもなく、そうしたシステムを作ると小さなトラブルでも大混乱に陥ったり、それによって大きなロスが生まれたりでトータルで見ると効率の低いシステムになることが往々にしてありますから、余裕は直ちに無駄とも言えないのです。評価の場面でも「最高速度で動かしてないのだからボトルネックで超過資本コストを計上しないのはおかしい」と目くじらを立てられることもありますが、こうした視点に立つとおかしな指摘なのです。
今回の新幹線の混乱ですが、計画運休のやり方、駅の混乱等課題はいろいろありそうです。具体的にどういう手段が講じられるかは分かりませんが、自動改札ですから改札口で人数を厳格にカウントして入場させると言った手法なども出てくるかもしれません。
安全第一で混乱を生じさせないスマートなシステムが理想ですが、特にイレギュラーの時に渋滞回避をどうするかは永遠の課題と言えるでしょう。
Comments