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鉄道保守車両のニュースから短期と長期を考える

Yahooのトップページを見ていたら、JR東日本が車内で線路の保守作業ができる車両を開発したと出ていた。パッと見チンプンカンプンだったので、記事を見てみるとどうやらカバーのようなものがあってその中で作業ができる車両のようだ。

 

【茨城新聞】JR水戸支社が新型保守用車を導入 国内初、車両内で作業可能 https://ibarakinews.jp/news/newsdetail.php?f_jun=15928190455026

 

カバーをつけると邪魔じゃないのかとも思うのだが、騒音の問題や天候の影響が受けにくくなるメリットがあるのだろう(その辺は記事に書かれていない)。

  そういえば、先週JR西日本でも高性能保守車両を導入というニュースを見た覚えがあり、人手不足が深刻になりつつあるのだと思ったことを思いだした。  

6月 社長会見:営業・輸送概況、お客様の安全・安心に向けた取り組み、高性能保線機械導入による省人化推進(在来線):JR西日本 https://www.westjr.co.jp/press/article/2020/06/page_16168.html


短期と長期

コロナウイルス感染症(COVID-19)の蔓延で外出自粛が要請され、観光や外食といった産業が影響を受けており、鉄道や航空などの運輸業も影響の大きい業種のひとつである。

特に中小を中心に資金繰りに困窮する事業者が多く、底なしの大不況にはまってしまったかのような言われ方も耳にすることがある。

こうした視点からは、コロナ禍で収益が落ち込みつつある鉄道会社がこの時期に保守車両に設備投資するなどというのはおかしな話ということにならないだろうか。 これはつまり、短期の問題と長期の問題に分けて考えているということだろう。分厚い自己資本を持つ大企業ならではなのかも知れないが、今期の業績の良否よりも長期的な企業の存続を考えれば人手不足の方が明らかに企業にとっては脅威で、そのための投資はぶれずにしっかりと行うということなのだろう。

キチン ジュグラー クズネッツ コンドラチェフ

経済学の教科書には景気変動であるとか景気の波というものが書かれている。経済活動は循環的に好・不調を繰り返すと考えられていて、その周期として、キチン・ジュグラー・クズネッツ・コンドラチェフの4つの波があると考えられている。

キチン波は概ね40ヶ月程度の短い周期で、特に在庫の循環との関係が大きいとされている(但し、ITの普及でその循環が不明確になりつつあるとも言われている)。ジュグラー波は概ね10年の波で、企業の設備投資が大きく関連すると言われる。クズネッツは20年収期の循環で、建築などが関係するとも言われるが、機械設備評価に携わる立場から言うと経験的に特に大規模な機械の寿命や技術革新がが20年程度であることが多いと感じている。コンドラチェフの波は長期の循環の波で50年程度の周期と言われる。大規模な産業革命が50年程度で起こるとされていてこれに関連するものと考えられている。 特に今回のCOVID-19蔓延で感じることは、短期の循環に関連が深い小売業や外食産業などが大きくダメージを受けている反面、現段階では中長期的な企業の設備投資のスタンスがそれほど変化していないように感じる。 JR2社の設備投資もこの流れを端的に現したものといえるかも知れない。

「長期」の息切れにご用心

とはいえ、長期の投資についても全く影響がないとはいえないだろう。鉄道以上にダメージが深刻な航空業界では航空機の投資を手控える動きが強い。今は大丈夫な業種であっても、今後じわじわとダメージが効いてくる可能性がある。「長期」の息切れに用心が必要だろう。

鉄道の保守車両として人気が高い東海道新幹線の「ドクターイエロー」も次世代は登場しないという説が出回っている。近年は検査機器が小型で高性能になり、普通の営業車両に搭載して検査が可能になっているからであるという。東海道新幹線も開業から50年以上経過していることから、ドクターイエローもコンドラチェフの波に飲まれるように消えてしまうかもしれない。

フロンティア資産評価研究会 松浦 英泰

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