top of page
Hideyasu Matsuura

ファクトリーサイエンティスト育成講座のレガシー問題

更新日:2023年11月10日

 先週までファクトリーサイエンティスト育成講座を受講しました。

 講座の受講を終えて問題になるのが講座で組み立てたシステムをどうするかです。

 奇しくも、今週から水曜日の午後に別の研修が始まり、今月中の水曜の午後はずっと研修ということになります。

 別の研修に忙殺されないうちにと、1週間で受講後にシステムをどう維持するか、いろいろと試してみました。


 講義で作ったのは、温度センサーを接続したWioNodeからインターネットでMicrosoftのAzure IoT Hubと呼ばれるサービスにデータを送り、受信したデータをAzure Stream Analyticsで処理して、POWER BIと呼ばれるサービスで現在の状況を見える化すると共に、Azure Cosmos DB(データベース)にデータを蓄積する一連のシステムを講義の中で構築します。

 講義中はファクトリーサイエンティスト協会が環境を提供してくれるのですが、終了後に同じ環境を維持したいのであれば、自社で構築しなければなりません。


 Microsoft のAzureで維持したいのであれば、Azureのアカウントを作れば良いのですが、アカウントには個人アカウントと組織アカウントがあり利用出来るサービスの異なるそうで、講義の中では組織アカウントを作成するよう勧められました。

 

 我が社でも組織アカウントを作ることにチャレンジ。Microsoftのサービスは以前から相当混沌として体型がつかみづらいと思っていたのですが、まさにその典型で、ネットで調べてもよくわからず、結局はMicrosoft365の個人アカウントから派生するような形で法人アカウントを作り、更に自社の既存のドメインを接続して法人アカウントを作りました。

 そこまで出来ればあとは講義の内容に従って同じ環境を作れば良いのですが、問題となるのは費用の問題。新規で登録すると1ヶ月は無料で使えるようなのですが、その後は課金対象になります。課金の対象になるのはStream Analyticsで、一時間あたりが約17円の時間課金になります。換算すると1日が408円、1ヶ月ですと1万2千円前後になります。この辺りは費用対効果だと思いますが、ある程度の規模の企業で明確なコストメリットがないと導入は難しいのではないでしょうか。もちろん不要な時間帯はサービスを停止すれば良いのですが、停止するのを忘れたりすると大変です。

 Microsoft Azureで環境構築しても良いのですが、そうした背景を考えると躊躇してしまいます。


 そもそも論に戻って考えると、Microsoft Azureはクラウドサービスの一つ。クラウドサービスには他にもサービスがあるのですが、その中でも比較的低料金あるいは小規模であれば無料で必要最低限のことが出来るAmbientというクラウドサービスがあります。

 講座とは別に自宅で趣味の範疇のIoT環境をAmbientで構築しており、送信したデータを即時にグラフやメーターの形にして見ることが出来ます。このAmbientを活用することも考え、Arduinoのコードを書き換えてみました。Azureとのデュアル送信も可能で、数日間はデュアルで送信していました。

Ambientなら容易に見える化できる
Ambientなら容易に見える化できる

このAmbient、弱点があって、複数台のIoT機器がある場合はそれぞれ一つずつのチャンネルを指定して送信しなければならず、違うチャンネルに送信した場合は、複数台のデータを一つのグラフ上で表示することが出来ません。2つのデータを比較する場合には致命的です。

 とはいえ、この問題には解決法もあって、Bluetooth Low Energy(BLE) を利用して複数台をつなげ、1台のサーバーで統合したデータをAmbientに送るという手段があります。そのためには、マイコンボードがBLEに対応していること、データを統合して送信するプログラムを書く必要があり、こちらは今のところ「今後の検討課題」です。


 さらにもう一つ。Google Apps Script(GAS)を利用してGoogle Sheetsでデータ処理する方法もあります。

 こちらは、自宅のIoT環境で試したところ、データ送信と複数のスプレッドシートを一つのグラフにするところまでは成功しました。これをWioNodeに実装することもできます。しかしながら、この方法を採る場合はプログラミングを行うArduinoをバージョンアップしなければならず、バージョンアップした場合は講義で利用したAzureのライブラリが使えなくなってしまうとのことです。

 まさに、ルビコン川を渡るか否かの選択になるわけで、ここが判断の難しいところになります。


 現実解では、無料期間の間はAzureとAmbientを併用し、その後はAmbientかGASという選択しかないと思います。


 折角、現実的に使える形で教えてもらったのに活用しない手はありませんし、投資を無駄にしないためにも講義が終わった後も使い続けることは大切、いや、実践で使うことが一番大切でそのために時間と費用を使ったわけです。

 過去に折角学んだのに使えなかったもの(RESASとか)もあり、今回はそうならないよう、少々奮闘したいと思います。

閲覧数:192回

Comments


bottom of page