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太陽光発電が引き起こす問題に法規制か

更新日:2021年3月5日

読売新聞が太陽光発電施設が引き起こすトラブルについて報じている。

【独自】川が汚れてから住民気づく…太陽光発電巡りトラブル続発、条例で規制も : 社会 : ニュース : 読売新聞オンライン https://www.yomiuri.co.jp/national/20210221-OYT1T50059/

【独自】再生エネ発電、住民合意前提に「促進区域」…「太陽光」トラブル多発で新制度 : 社会 : ニュース : 読売新聞オンライン https://www.yomiuri.co.jp/national/20210220-OYT1T50197/


トラブルが多い太陽光発電施設

CO2の排出が抑制でき、環境に優しいとされる太陽光発電施設であるが、あちこちで別の環境問題を引き起こしている。強風によるパネルの飛散や倒壊、反射光による"光害"での住環境や鉄道施設等への悪影響、除草剤の散布による環境への悪影響、土壌の流出による水環境の破壊、更に景観の破壊などが主なものである。 先日、福島県沖を震源とする強い地震があったが、翌朝、NHKのアプリで空撮映像を見ていたところ、メガソーラーとみられる太陽光発電施設が崩落している光景が映し出されていた。

太陽光発電所適地は?

再生可能エネルギーについては固定価格買取制度によって買取価格が保証されているから、採算は良いとされるが、それでも住宅地の更地を購入してパネルを設置したのでは採算が合わず、事業用地として適するのは市場性の低い地方の宅地か、農地または山林である。 特に山林の場合は傾斜地であるから、森林を大規模に伐採すると雨水による表土の流出が発生し、下流の水利用に悪影響を与えることになる。こうした影響が出ることは早くから知られていて「太陽光発電事業の評価ガイド」でも水環境への配慮が評価項目となっている。

山林を切り開いての太陽光発電(イメージ)
山林を切り開いての太陽光発電(イメージ:写真ACより)

以前、我々の所属する(一社)日本資産評価士協会でも、太陽光発電の評価に取り組む方向で動いていた。開発許可制度などで審査が厳格になるメガソーラーではなく、小規模な低圧の施設向けの評価を考えていたが、低圧の施設はそもそもの投資額が小さく、評価サービスを必要とする社会的な要請もなかったことから、国立研究開発法人産業総合研究所と共同で施設の実地調査を行ったのみで事実上立ち消えになってしまった。 法制度の整備が今回行われるようであるが、報じられた内容を見る限りでは事業者に対して「配慮」を求めるレベルで、積極的かつ強い規制にはならないと考えられる。

ESG投資が環境破壊に繋がる矛盾

最近、俄にESG投資が注目されてきているが、ESG投資向けの融資の多くが再生可能エネルギー、なかで太陽光発電の事業に流れているとのことで、ESG投資したはずが森林の環境破壊を引き起こしていたのでは本末転倒ということになってしまうだろう。こうした議論はあまり進んでいないように見受けられるが、ESG投資を誰がどのようにチェックするかという問題は早晩俎上にあがってくるのではなかろうか。

 

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