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木質系バイオマス発電の理想と現実(2)

以前このコラムでバイオマス発電に関して「木質系バイオマス発電の理想と現実」「バイオマス発電には燃料が必要」といった記事をエントリした。 守秘義務その他の事情があり奥歯にものが挟まったような内容になってしまったが、事業者のナマの声を反映した良い記事が出ていたので御紹介したい。   なぜバイオマス燃料は集まらないのか? 国内外で「奪い合い」 - メガソーラービジネス(日経BP)

 

弊会会員は前身の有限責任事業組合日本動産評価フロンティアの時代からバイオマス発電施設の評価を手掛けているが、バイオマス発電の参入障壁として燃料の調達が非常に大きい理由がまさに前記記事の中に書かれていることだからである。

太陽光発電は日照の良好な場所にソーラーパネルやパワーコントローラなどからなる設備を設置し系統連系を行えば、比較的容易に事業が始められるものの、バイオマス発電は安定的継続的に燃料を調達する必要があり、そこには人手が必要になるから参入の難易度は自ずから高くなる。

実際に木質系バイオマスで事業を軌道に乗せている事業者は知っている限りほぼ全て森林組合などと何らかのパイプを持つ人が絡んでいる。木材の産地はほとんどがいわゆる「イナカ」で人間関係が濃厚であり、他所の人がいきなり入り込むのは難しい。したがって時間をかけて人間関係を作り込む必要がある。だから「利回り」の発想でビジネスを考える人には向かないのである。

一方、植物由来のバイオマス発電の場合は木質系のようなウエットな人間関係とは無縁になるが、燃料は海外に頼ることが多く国際市場からの調達になるため、安定供給という面で難がある。国際的に取り合いとなればドライな競争が待っており、価格が高騰すれば事業採算がたちまち取れなくなってしまう。 そもそもバイオマス発電は燃料が再生可能エネルギーであるだけの話で、仕組み的には火力発電そのものであるから燃料供給という問題がどうしてもつきまとう。

我々の取り組む公正価値評価はただ単に機械設備としてのモノの価値だけを考えるお出はなく、事業採算性の観点からのアプローチも必要になるため、燃料供給の安定性も価値を考察する上で重要なファクターになる。


バイオマス発電についても太陽光発電と同様に再生価格買取制度(FIT)の見直しが行われており、国内の森林資源活用に資するような方向に転換していく見込みである。

しかしながら、燃料供給をはじめとする事業の仕組み作りが必ずしも容易ではないため、新規参入に繋がる可能性は必ずしも高く無いであろう。そうなった場合、既存の事業のM&Aといった方向に進むことも考えられるが、バイオマス発電という人間的なしがらみの大きい事業とマーケットの論理が本当に噛み合うのか、やや不安に感じるのが正直なところである。


フロンティア資産評価研究会 松浦 英泰

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