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Hideyasu Matsuura

火災の後処理について調べてみた


 先日も、帰宅して夕食の後ベランダに出て灌水していたのですが、上空に1機のヘリコプターが飛んできました。見上げると赤色のヘリコプターで、消防局のヘリコプターだと分かりました。去年、ヘリポートの一般公開に行って、パイロットの方にお話しを伺ったこともあり、あのときのヘリコプターかなと思いつつ、何故この時間にこんなところを飛んでいるんだろうと不思議に思いつつ、動きを追っていると子供の通う小学校の上空あたりを飛んでしばらくすると、ヘリポートの方に向かって飛び去ってゆきました。と同時くらいに消防車のサイレンの音があちこちから聞こえ始め、小学校の方向に集まって行くようです。

 目を凝らしてみると、赤色灯の点滅に混じってうっすら白い煙が見えるようになってきました。そのうちにベランダにも煙の匂いが漂い始めます。学校からは数百メートルも離れているのですが、はっきり煙だと分かるくらいになってきます。部屋の中に入って戸は締め切ったのですが、それでも室内に充満するようになってきました。

 ニュースなどによれば、火元を初め両隣が類焼。4棟を全半焼して7時間後に火は消し止められたそうです。

 火災となった現場は当日の朝も前を通ったのですが、翌朝前を通ると消失した惨状になっており、火事の怖さを改めて実感しました。


 高校時代、教科担任から実家が火事になった話を聞いたことをよく覚えていて、中でも「消防から焼き具合を聞かれた」という話が衝撃的でした。隣家からの類焼だったそうですが、火災に遭ってしまうと、当然再建なり修復なりが必要になってきます。火事だから一刻も早く消して少しでも延焼を食い止めようと考えるのが普通ですが、建物がある程度消失してしまうと、修復も大がかりになります。しかし、燃え残りの部分が大きければ「半焼」にされてしまい火災保険の保険金が減額されてしまうため、釈迦力に消し止めるよりは延焼を食い止めつつ燃やしてしまう選択が合理的になるケースもあるのだそうです。勿論、建物の所有者が「そんなことどうでも良いから早く消せ」と言えば消防も対応してくれるので、一応は確認をとるらしい...とのことでした。

 どこまで本当の話なのか確かめようがないのですが、確かに保険金のことを考えれば、そういった選択を迫られることはあり得るのかもしれません。

 

 そんなことを思い出しつつ、損害の程度はどう判定されるのか調べてみたのですが、消防でのと定義と保険会社の定義は必ずしも同一ではないのだそうです。


 全国の消防機関が公表している内規ではほとんどが次のように規定されています。

  • 全焼: 建物の焼き損害額が火災前の評価額の 70 パーセント以上のもの又はこれ未満であっても残存部分に補修を加えて再使用できないものをいう。

  • 半焼: 建物の焼き損害額が火災前の評価額の 20 パーセント以上のもので全焼に該当しないものをいう。

  • 部分焼: 建物の焼き損害額が火災前の建物の評価額の 20 パーセント未満のものでぼやに該当しないものをいう。

  • ぼや: 建物の焼き損害額が火災前の建物の評価額の 10 パーセント未満であり焼損床面積が1平方メートル未満のもの、建物の焼き損害額が火災前の建物の評価額の 10 パーセント未満であり焼損表面積が1平方メートル未満のもの、又は収容物のみ焼損したものをいう。

ちなみに、「焼き損害」とは”火災によって焼けた物、熱によって炭化、溶融又は破損した物等の損害”とされています。また、消火活動によって受けた水損、破損、汚損等の損害を「消火損害」といいます。  一方、保険会社では損害の程度を

  • 全損(保険金額の100%支払):1. 主要構造部の損害額が建物の時価の50%以上の場合 2. 焼失した床面積が建物の延床面積の70%以上の場合

  • 大半損(保険金額の 60%支払):1. 主要構造部の損害額が建物の時価の40%以上50%未満の場合 2. 焼失・流失した床面積が建物の延床面積の50%以上70%未満の場合

  • 小半損(保険金額の 30%支払):1. 主要構造部の損害額が建物の時価の20%以上40%未満の場合 2. 焼失・流失した床面積が建物の延床面積の20%以上50%未満の場合

  • 一部損(保険金額の 5%支払):1. 主要構造部の損害額が建物の時価の3%以上20%未満の場合 2. 地震等によりその建物の損害が一部損に至らない場合で建物が床上浸水または地盤面から45cmを超える浸水を受け損害が生じた場合 

の4段階に区分しています(2017年以降の契約の場合で、それ以前の契約の保険では異なりますのでご確認ください)。


 火災では、消防で全焼と判断された時、延面積の70%以上が焼損した時、原状回復にかかる費用が保険金を超えた時、「焼き損害」と「消火損害」の合計が、火災直前の建物評価額の80%を超えた時を全損と判断しており、半焼の場合は「大半損」「小半損」として区分されるそうです。保険の場合は専門の鑑定人(不動産鑑定士やASAの機械設備資産評価士とは別の職能)が調査をすることになっていて、その鑑定人の判断になるようです。

 また、意外なところでは、火災の場合の解体作業は一般の建物解体に比べ割高になるケースが多いとのことです。消失により嵩が少なくなるから割安になるのではないかと思うのですが、火災の燃え殻は資源として再利用の道がないため、資源としての売却額が得られない他、分別にもコストがかかるためだそうです。    もっとも、火災の場合は水害や地震による被災の時と同じように罹災証明が発行されるため、これによって減免措置が得られる自治体もあるため、こうした支援を利用する方法もあるようです。  災害は突然やってくるため、知らないと間違った対応をしてしまい、再建の道を険しくしてしまう可能性もあり、平時から知識として知っておいた方が良いかもしれません。  こちらでは障りの部分をご紹介しているだけですので、さらに詳しく知りたい方は、保険会社や専門家にお問い合わせになることをお勧めします。  火災にはくれぐれも用心し、他山の石とされることを強く願っております。

 

[参考情報]




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