大手通販会社アスクルの物流倉庫が2月16日に火災になり、鎮火までに12日を要し、非常に手間取った。
建物が巨大でしかも窓がないことがひとつの理由とされているが、もうひとつの理由に屋上に太陽光パネルが設置されていて、消火活動のために放水すると消防関係者が感電する恐れがあったため消火活動の妨げになったことが挙げられている。
「太陽光発電システムを設置した一般住宅の火災における消防活動上の留意点等について」(消防庁消防・救急課 消防庁消防研究センター) http://www.fdma.go.jp/concern/law/tuchi2503/pdf/250326_jimurenraku.pdf
消防・救急活動での電気のリスクはハイブリッド車など電気モーターを使う車でも発生している。ハイブリッド車が事故に遭い車体が大きく破損した場合、レスキュー隊員が感電する恐れがあるのだという。
環境負荷を考えるとエネルギー源は温室効果ガスの排出がなく効率の良い電気にシフトするのが昨今の流れであるが、コンロなどで「火を使わない」と宣伝されていた所為もあってか、一般には火災のリスクが低いと考えられている。
ところが、電気火災のリスクは決して低くないのである。
大規模な加算が発生した阪神淡路大震災では、ガスや油に起因する火災が10%弱に対し、電気を原因とする火災は30%程度であった。
太陽光パネルを屋上に配置した工場は多いが、火災のリスクについてまでは思いが巡らないと多くの人が感じることだろう。
火災に遭った倉庫は自動可搬式のシステムを備えた最新鋭の倉庫だったようである。
火災のアスクル倉庫、内部はこうなっていた(日経ビジネスONLINE)
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/report/15/110879/022000581/
もともと消火活動がしにくい構造に加え、太陽光パネル設置で消火活動に感電のリスクがあるとしたら、火災になったら非常に厄介なことになる。
火災の原因は、フォークリフトのケーブルのショートではないかという情報もある。フォークリフトも電動のものは多く、火災の原因自体が電気のショートだとすると、もしかすると電気による火災や感電のリスクは自動倉庫に限らず、大きくなっているのかもしれない。
もっとも、アスクルの倉庫火災のような自動倉庫の火災で消火に手間取るケースは今回だけでなく過去にもあったようで、こうした事故が多発すれば、特に太陽光パネルの設置に関しては今後規制強化などがあるかもしれない。
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