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医療の世界の高い壁

ここのところ新型コロナウイルス感染症(COVID-19)対策のワクチンの話でテレビや新聞の報道は持ちきりです。 9月までに対象者全員に行き渡る量のワクチンを確保できるというニュースが出たかと思えば、高齢者向けの接種が自治体によっては来年までかかるといった話も出てきて、一体どうなっているのか全く見当がつきません。

1年以上経つのに何故対策が進まない?

 昨年1月に明らかになって以来、ずっと世間を騒がせ続けているこの感染症ですが、どうもいろいろな対策が後手後手に回っているようにも見えます。我々のような素人からすればそうなのかも知れませんが専門家も精一杯やっているでしょうし、何しろ未知のウイルスと戦っているわけですから、試行錯誤を繰り返すのは致し方ないでしょう。


医療の世界の高い壁

 医療の世界というのは人の健康や生命に直接関係することなので、おいそれと新規参入できるものではありません。金儲け第一で効果二の次、健康被害が出ても知らん顔というような人が参入されては危険です。ですから、医療の世界に高い参入障壁があるのは当然のことかもしれません。

 機械設備の評価関連業務でも医療関係の機器が対象になったことがあるのですが、医療関係者でないと機器のパンフレットすら貰うことができないのです。  ネットの通販サイトで国産の非接触体温計があまり出てこなかったのは、医療機器と名乗るには厳しい審査基準があるからと聞きます。国内メーカーはそのあたりの厳しい基準を熟知しているのでしょうが、海外の怪しい製品が堂々と「体温計」と名乗っているのを見ると、何のための規制なのかと虚しい気分になったものです。


コロナ対策にはマイナス?

 この「高い壁」が、特に日本ではコロナ対策で障害になっていると言います。ワクチンの接種を迅速に進めたイギリスでは20時間の訓練を条件にボランティアに対してワクチン接種を認める法改正を行い、成果を上げたと言います。  日本でも歯科医師にワクチン接種を認める方向で検討が進められていると言いますが、本来業務だけでも多忙な医師や歯科医師にどれだけワクチン接種に従事してもらえるか、それこそ医師の皆さんの社会的使命だけが頼りだとも言われます。  非常事態で迅速なワクチン接種が必要ならば、リスクを少なくする努力をした上で例外を認めることが必要でしょうが、訓練した一般人にまで門戸を広げたイギリスと、広げるとしても歯科医師までという日本と対応が異なります。決定的な遅れにならないことを祈るばかりです。


ワクチンを打てば終わりではない!?

 ワクチン接種が順調に進んでいるイギリスやイスラエルなどではロックダウンの緩和といった措置が取られていると報じられているため、「ワクチン接種が唯一救いの道」のようにも思ってしまいます。しかしながら、先日こんなインタビュー記事が掲載されていました。


国産ワクチン、なぜ出てこない? 塩野義・手代木社長に聞く(日経ビジネス)https://business.nikkei.com/atcl/gen/19/00005/032600173/ 

記事の中で、塩野義製薬の手代木社長は

ゴールは、診断薬、ワクチン、治療薬の3セットが具備されて、インフルエンザと同じような状況になって国民が安心して生活できるようになることです。一刻も早く安心して生活が送れるように、私たちもワクチンや治療薬、診断薬の開発に夜を徹して努力していますが、そのような状況になるのは22~23年ではないでしょうか。

と述べており、決してワクチン接種を行えば安心というわけではないようです。

もちろん、ワクチンの接種があれば、感染や重症化のリスクを低減できる効果はありますが、それだけでは不十分なようです。


そう考えると、しばらくはCOVID-19とは付き合わざるを得ないようですが、ワクチンや新薬開発がスムーズにいかないのは安全保証的なリスクも孕みます。 そういう点では、海外勢にすっかり後塵を拝している現状に問題があるのは明かです。はたして、今回の教訓が次回以降に生きるか?新型ウイルスによるパンデミックは10年に一度は起こっているといいます。

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