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COVID-19の蔓延を許した「エヴィデンス・トラップ」

感染拡大初期のWHOの声明で感じたこと

新型コロナウイルスCOVID-19の感染拡大が止まらない。もはやパンデミックのステージで、人と接触しないことくらいしか打つ手はない。安倍首相がウイルスと戦うと記者会見で述べていたが、市井の民の一人としては戦うどころかいかにして上手くウイルスから逃げるかの勝負といった印象の方が強い。 そもそも、1月末の段階でここまで感染が拡大するとは想定しなかった、というか、そうなる可能性は薄々感じて予測してはいたものの具体的にどうなるかまで想像できた人はいなかっただろう。 それは29日に志村けんさんが肺炎で亡くなられてから、決して遠い場所での出来事ではないと再認識させられ、日本国内でも一気にに緊張感が高まっていることからもわかる。 振り返ってみると1月末頃は世界保健機関(WHO)が感染拡大のリスクをなかなか認めないことや事務局長が中国から支援を受けているエチオピアの出身であることから中国擁護との批判も多かった。 もちろん、中国擁護の可能性も捨てきれないのであるが、WHOの声明を聞いていると、感染者がいるという事実が無いから感染拡大は認められないというような内容のものが多かった。 いうならば、事実や証拠がないので公言はできないという「エヴィデンス・トラップ」にかかっているのではないかと思っていた。

根拠がないと発言や行動ができないDNA

とかく、公務員や我々のように専門職業家と呼ばれる立場の人間は発言に対して根拠を示すように言われることが多く、ちゃんと根拠があれば責任が軽減されることもあるから、根拠のないことについて発言することに反射的に神経質になってしまう。 WHOも官僚や学者からなる集団だから自ずからそうなってしまうのかと当時WHOの声明を聞いて筆者は感じていた。

COVID-19には致命的

とかくCOVID-19に関して、エヴィデンス・トラップにかかると致命的な結果をもたらすことは今、世界で起こっていることをみればわかる。また一般に言われているCOVID-19の性質として、潜伏期間が長く、発症前でも感染のリスクがあると伝えられている。感染の認知にしても、検査方法はあるものの質・量共に全く不十分といった要因で感染の認知が遅れやすいことから、事実を認めてから行動したのでは完全に手遅れになることは間違いない。


リスク管理とバランス感覚

リスク管理の面から言えば、先回りして強い措置を発動することが望ましいが、強権発動となると補償の問題が生じるし、人権最優先に考える層から強い批判も出ることは想像に難くない。 一方でエヴィデンスを全く無視して多くの人が対策・防衛に走れば、デマが蔓延りパニックを誘発する危険がある。こうなるとバランス感覚が重要になる。 何はともあれ、一日も早く感染拡大にブレーキがかかることを願ってやまない。

 

フロンティア資産評価研究会 松浦 英泰

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