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航空機のWebinarが目白押し

最終更新: 11月5日

またまた米国鑑定士協会(ASA)のWebinarの話で恐縮である。

ASAの評価人資格を維持するためには専門教育を一定時間受講することが義務づけられていて、不足していると次回の資格有効期間が短縮されたり、降格になったりと厳しいため、当初はポイント稼ぎの手段として受講していたのだが、以外にここで出た話題が数ヶ月後に日本でも話題になることが多く、専門業界のマニアックな部分もあるものの、このコラムを読んでいただける方に、世界的な潮流を掴むヒントになればと思って記事にしているので是非お読みいただければ幸いである。


ご存じの通り世界の航空業界は大混乱

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が世界的に蔓延し、感染拡大防止の観点から移動に対する制限が加えられた。

特に国際航空に関しては影響が大きく、影響が長引いているため経営体力の弱いローコストキャリア(LCC)が経営危機に陥っているほか、レガシーキャリアと呼ばれる大手航空会社の経営にも深刻な影響を与えている。数日前ANAホールディングスが令和3年3月期の連結最終損益が過去最悪の5100億円の赤字になるとの見通しを明らかにし、同時に経営再建策も発表した。経営再建策の中には航空機の削減も含まれているから、廃棄あるいは売却されることになるが、航空機の場合は再流通のほか、部品取りという選択肢もあるから売却されるのが通常である。航空機の削減は全世界のエアラインで行われるから当然中古市場での価値は下がることになる。

また、一部では使用年数の少ない機体が部品取りに回されるケースも出ている。以前の記事で、動画の内容から部品取りにした場合の価値は新規コストの3.4%と推定したが、市場で再流通するよりも部品取りにした方が価値が高いと判断した結果であるから、機体の市場価値がどの程度になっているか想像に難くない。

(参考)
機齢12年の777-300ER、部品取りに GE系が解体進める[Aviation Wire]
https://www.aviationwire.jp/archives/209140 
ボーイング747を破壊せよ!~旅客機のスクラップ価値 
https://www.frontier-valuation.com/post/columns219


航空機リースの世界も

旅客機などは1機あたり数十億~数百億の投資となる。事業規模の大きな米国や中東のエアラインではこれを数百機単位でオーダーする。小型の航空機でも新造機は数億円もする。従って、リースによる調達も盛んな業界である。

調査主体にもよるが、航空機リース業界の市場規模は2019年でおよそ2,900億ドルとされている。

航空機リースの場合、賃料がリース会社収入になるが、航空機の運航が大幅に縮小している現状では航空会社の売上が上がらず、リース料の値下げや経営の苦しい会社はリース料の支払いが困難になったり、余剰機材の返却されたりして収益が圧迫されることになる。

リース業界は資産総額が200億ドルを超えるような大手も存在するが、比較的プレイヤーは多い。また匿名組合契約によって小口化もされ、企業の節税スキームにも利用されている。実際に、航空業界とは全く関係がない会社の貸借対照表に航空機が突然出現するといったことも実際にある。

(参考)
いずれは個人の投資にまで浸透!?「航空機投資」とは何か? [幻冬舎ゴールドオンライン]
https://gentosha-go.com/articles/-/18062 

評価業界との関係

今回のように航空機の価値を大幅に下がり、回復の見込みが期待できない場合は企業会計上損失計上が必要になる。そこで必要なのが時価評価であり、航空機の価値評価のセミナーが激増しているのもこのためである。特に海外の航空機の場合はオン・コンディション方式といって航空機の部品の状態に応じて維持管理が行われているため、評価に当たっては整備記録などを精査して評価を行う必要がある。関連法規などの専門知識も必要な評価で、評価人の中でも航空機の専門家はそれほど多く内のが現状である。

時価評価の業界でも動きが出ていると言うことは、監査業界などもかなり大変な状況にあることは間違いないだろう。

航空機を節税に使うケースがあるということは、それに該当する会社も特別損失を計上する恐れがあるということだろう。


意外なところで意外な影響が出る可能性があるから注意である。


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