ご存じのように7月1日からいわゆるレジ袋(プラスチック製買物袋)が有料化されました。 レジ袋有料化 - 経済産業省 https://www.meti.go.jp/policy/recycle/plasticbag/plasticbag_top.html
経済産業省では、特設のWebサイトで「廃棄物・資源制約、海洋プラスチックごみ問題、地球温暖化などの課題」といったプラスチックのデメリットを挙げ、「プラスチックの過剰な使用を抑制」を目指しているようです。 そんな中、レジ袋の有料化が果たしてプラスチックの環境問題改善にどの程度効果があるのか疑問視する意見も根強くあります。海岸などでレジ袋が落ちている光景はよく目にしますが、生活の中で例えばゴミをまとめる際にプラスチックの袋は重宝しますし、そもそも指定のゴミ袋はプラスチックで、これを燃やして処理します。現在のゴミ焼却施設の能力からすればプラスチックは燃やせるものであり、むしろゴミの燃焼を助ける役割をするという見解もあります。 また、プラスチックもレジ袋だけではなく、洗剤などの日用品の容器や飲料のペットボトル等他の包装資材としても使われていますし、家電、自動車、建材などありとあらゆるプラスチック製品が身の回りにあふれているのが現状です。 そう考えるとレジ袋というものは、身の回りにあるモノの中でも「無駄」という概念にいちばん結びつきやすいものと考えられ、まず俎上にあがったのもそのためではないかと思われます。
最近では新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の飛沫対策として樹脂製のアクリル版やビニールシートがよく使われています。ガラスに比べれば軽量で安全性が高く扱いやすいことが選ばれる要因になっていると思います。少し前の話ですが、ある所で装飾の検討をする機会があり、そこでメッキの施された加飾フィルムが検討の対象になりました。ご存じの方も多いと思いますが、メッキ加工は有害な化学物質を使用するため、土壌汚染などの原因になることがあり、環境負荷の大きい加工方法ですが、フィルムにメッキを施せば環境に対する負荷が軽減できるといいます。こうした製品はトータルで考えると環境での負荷は少なくなるのかも知れません。 どちらかと言えばプラスチック産業はまだ成長の余地がある産業です。今まで金属で作られていたものが強化プラスチックで代替されるものも多くなっています。 一方で、ここに来てセルロースナノファイバー(CNF)という新しい素材がプラスチックに変わる素材として注目を集め始めています。CNFは植物の構造の骨格を成している基本物質「セルロース」をほどいて再構成した繊維材料ですが、様々な分野への応用が期待されていて、将来的にはプラスチックや金属に替わって使われるようになるかも知れません。 レジ袋の有料化もバイオマス素材の配合率が25%以上のものは対象外になっています。現在のバイオマスプラスチックは植物由来のバイオエタノールを原料に作られるものが主流ですが、もしかすると中長期的に大量生産が可能になるCNFへのシフトも考えられるかも知れません。 消費者目線ではあまり有り難くない施策ではありますが、環境保護やイノベーションを促すきっかけになるのであれば甘受すべきなのかも知れません。
フロンティア資産評価研究会 松浦 英泰
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