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「奪い合いの世界」から脱するために

  • 執筆者の写真: Frontier Valuation
    Frontier Valuation
  • 10月22日
  • 読了時間: 3分

更新日:10月24日

 毎朝、朝食の時間はNHKラジオを聴いている。  朝6時台は「マイあさ!」という番組を放送していて、ラジオ体操が終わった後、マイ!Bizというコーナーがあって、各界の著名人が経済のトレンドなどを解説してくれるので、勉強がてら毎朝楽しみに聞いている。  今日10月22日の朝は、慶應義塾大学商学部准教授の岩尾俊兵氏が『「奪い合いの世界」から脱するために』というタイトルでお話されていた。  食事をしながら聴いた内容なので、多少うろ覚えなのが大変恐縮であるが、後日の記憶のために留めておく意味を込めてあえて記しておきたい。このコラムの場合、実務的な内容でないければほとんど訪問者もいないので杞憂かもしれないが、もしお読みの方がいらしたらご容赦いただきたい。  近年は世界を見回しても、国内を見ても「価値を奪い合う」構図になっているがゆえに、諍い(いさかい)が絶えない状況である。これが他人のもっている「価値」を奪い合うより、価値を創造することに回った方が良いのではないかといった要旨であった。

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「価値」というワードを聞くと興味をそそられる習性であるので、大変興味深くお話を拝聴した。こう言ってしまうと水掛け論的になってしまうが、他人が収奪しようとしないようなものはそもそも価値がないとえる。対価を犠牲にしてでも得たいものが価値であり、それがなければ価値がないのである。さらに、評価実務ではエヴィデンス、定量化が強く求められる。評価は価値についての評価主体の意見であるが、ただの感想レベルの意見ではダメで、事実を基礎としてそのうえで推論を展開しなければならない。  しかしながら、そこで思考停止してしまうと「奪い合い」を肯定して、価値の創造を否定してしまうことになってしまうので、何とかそこから一歩抜け出せないか?と思うところである。だからこそ、書き残しておこうと思った次第である。 

「価値有限思考」と「価値無限思考」  ラジオの話に戻ると、岩尾氏のお話で興味深かったのが「価値有限思考」と「価値無限思考」である。「価値有限思考」は誰にでもわかるだろう。我々がいる公正価値評価は資産の価値を金銭価値に置き換える評価であり「価値有限思考」に基づく。有限だからこそ相対的希少性があり、市場性があるからだ。しかし、「価値無限思考」とは少々難しい。前段で思考停止に陥ったのは「価値有限思考」に留まっているに他ならないからである。    公正価値評価をやっていていつも感じることはその限界である。定性的にわかっていることでも定量化ができない。つまり直観的に「いい」と思っても、それを数値化して説明できなければ、数字として織り込むことができないのである。逆にそうした点に「無限の価値」があるのかもしれない。  はたして正解かどうかは分からないが「価値有限思考」には限界があり、しかもその世界は思っているよりも狭くて、万能とは程遠いのではないかと個人的には思っている。  金銭という尺度はあくまでも様々な尺度の一つに過ぎないからだ。  排他的な思考が高まるこの世の中、どうにか上手くいがみ合いを調整することは出来ないのだろうかと、無力感にさいなまれる今日この頃である。

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