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乗用農業機械に潜む危険

最終更新: 6月24日

先日、NHKニュースで乗用の農業機械の事故について報じられていた。 10年間で3450人が死亡 農作業に潜むリスクとは - NHKニュース https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200518/k10012434491000.html


乗用の農業機械が使えるか否かで農地の価値が変わる

 乗用の農業機械が使えるかが農地の価値を変えるという話は農業関係の方から伺った話である。農業収益は一般にあまり高いとはいえない。であるがゆえ、効率の良い生産を行うことが必要になり、そのためには乗用の農業機械(乗用トラクター、田植機など)が欠かせないという。鍬や鋤でせっせと農地を耕しているのではとても農業にはなり得ず、実際に鍬や鋤で耕している畑は農家が自家消費するための作物を作っていることが多いという。 乗用の農機が使えるか否かは農地の広さも関係するが、いちばん大きいのは傾斜の有無であるという。 乗用の農業機械は転倒すれば必ず死亡事故に繋がるといわれる。機械自体が非常に重く転倒すれば乗員が下敷きになることが避けられないためで、機械が転倒しないような場所、つまり平坦な場所で使う必要がある。 機械が転倒する危険のあるような傾斜地は現状、ほぼ取引が成立しないという。


どのくらいの傾斜で転倒事故が起こるか

 以前、土地評価のある案件で畑を平坦地と傾斜地に分類して評価をしなければならないということになった(傾斜のある水田は水が張れないので通常ありえない。傾斜地では棚田になる)。前記のような状況を考えると、乗用農機の転倒のリスクが高くなる角度と考えた。

いろいろな文献を集めてみると、農業機械が転倒するのは相当の角度になるという。危険が高いことは既知であるから、機械の設計にも当然反映されており、基本的に30度傾けても転倒しないような設計にはなっているという。  しかしながら、30度といえば相当な急傾斜で、急傾斜地崩壊危険区域に指定される斜面は30度以上である。人が30度の斜面を登ろうとすると、ほとんどよじ登るような感じになる。そうなると30度とするのは一般的な感覚からも問題がある。  

 別の文献を調査すると、いくつかの文献で異なってはいたものの、概ね10度~15度の角度を超えると乗用の農機が転倒するリスクが増大すると指摘するものが多かった。  そもそも農地といっても建物を建てるわけではないから宅地のように平らに整地されているものではなく、凹凸があったり、一枚の畑の中でも傾斜が大きいところとそうでないところがあったりする。したがって、10度~15度の傾斜の農地であっても農業機械は転倒するリスクは高くなるということであり、このあたりが平坦地と傾斜地を分ける基準になると考えて、分類することにした。

農作業のリスクは高い?

 農業に携わる人は身近にいるが、意外と怪我の話は聞く。機械で手足を切断してしまったりといった深刻な事故も少なくはない。製造業の工場では労働安全に関する規制は厳しく、労働安全の専門家の話では一旦労災事故を起こしてしまうと企業側の負担は大変に大きいという。農業に関しては企業体の参加を長年拒み自営の経営体が主体だったから労働安全の考え方が製造業に比べて今ひとつ浸透しなかったのかも知れない。  NHKのリポートでは農場と機械の“ミスマッチ”を指摘している。土地の評価の場面においても、農地は間口に比べ奥行が長い方が好まれるとされるなど、機械を利用することも考慮はされているが、バックヤードの安全性まで必ずしも考慮されているとはいえない。全般的に農作業の安全について考え直す必要があるだろう。




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