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落ちてゆく日本人の購買力

先日事業再生の専門家同士がZoomでミーティングをする機会があった。 そこで腑に落ちて考えさせられる話があった。   今年の初めまで日本はインバウンド需要を取り込むことによって景気浮揚を図る戦略だった。しかし新型コロナウイルスの蔓延(COVID-19)によって、壊滅的打撃を受けた。

インバウンド向けのバス会社の相談を受けているというと言う方によれば、バスのドライバーもインバウンドの方が収入が多く、一度やってしまうと日本人相手の仕事はしたくないのだという。 そもそもインバウンドが持て囃されていたのは、外国人の旅行者が日本人に比べて気前よくお金を使ってくれるからである。チップまで弾んでくれる外国人旅行者と、値切るだけ値切って完璧なサービスを求め、苦情はテンコ盛りの日本人相手ではどちらの仕事をやりたいかと言えば自明である。 いちばん恐いのは為替の動向である。2013年に現在の安倍内閣が誕生するまでは日銀がゼロ金利政策は採るものの、諸外国に比べて金融緩和は限定的だった。本来は日本銀行は政府から独立しているはずであるが、黒田総裁の登場と同時に異次元の金融緩和で大量に資金が供給され、円安の方向に向かった。 日本の株式市場は円安を好感する。現に輸出に依存する製造業にとっては円安というのは天の恵みのようなものだ。以前中国の評価案件を手掛けたところ、アベノミクス直前に日本から購入した1億円の機械が、為替を考慮すると円安の影響で再調達価格を求めたところ6~7千万円程度になってしまった。 同じ機械が為替の変動で一気に3~4割も安くなってしまうのだから、恐れ入る。 製造原価の管理を行って1円いや1銭を削り出す努力をしても為替レートの変動には到底かなわない。現場の涙ぐましい努力よりどこかの大統領の繰り出す140文字の方が影響力が大きいというのは大変な不条理であるが現実である。 少々脱線してしまったが、物を買う日本人にとって円安とは何かと考えれば恐ろしいことである。上記とは反対に100円で買えていた物が130円、140円出さなければ買えないと言うことである。 経済指標では景気が良くなったと言っても、イマイチそれが実感できないというのはこの品に原因がありそうである。 アベノミクスは、金融政策と財政出動で景気を浮揚させ、その間に痛みを伴う構造改革を行って、日本経済を再生させるという設計図だった。しかし、3本目の矢と言われた構造改革が一向に放たれる気配がなくここまで来てしまった。

もしかすると、3本目の矢は今回の新型コロナウイルスによる(COVID-19)で同じ効果がもたらされるのかも知れない。 世界的に日本のチカラが落ちていることは残念ながら認めざるを得ないところであるが、ここでしっかりネジを巻き直して踏みとどまりたいところである。


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