またまたマスクの品不足の話で恐縮ですが、あちこちで話をしていると、時折「布のマスク」「紙のマスク」といった用語が出ます。いわゆる使い捨てのマスクは「紙のマスク」で、政府が配布しているようなガーゼのマスクが「布のマスク」ということのようです。 実はガーゼの「布マスク」だけでなく、使い捨てのマスクも「布のマスク」も布なのです。最近ネット記事でも沢山出ているようで、使い捨てのマスクはポリエステルやポリプロピレンなどの化学繊維で作られたもので、縦横の目に編まれていない不織布というものがその正体です。 不織布の作り方はいろんなメーカーが情報を出しています。 不織布の製造工程(日本バイリーン) http://www.vilene.co.jp/about/nonwoven/how.htm
不織布製造(倉敷繊維加工株式会社)
http://www.kurasen.co.jp/development/nonwoven.html 不織布の製造工程は大きく分けてウエブやフリースと呼ばれる繊維シートを作る工程とその繊維を結合させる工程の2つがあります。
繊維シートを作る製法はメーカーによって多少異なるようですが、カード機と呼ばれる機械で繊維の目を一定或いはランダムに整えてシート状に整えています。このカード機ですが、以前綿布団の製造装置の案件を手掛けた時見たことがあります。つまり繊維をシート状にする点で紙にも近いのですが機械としては繊維加工の機械を使っていることから、織らない布ということになるのでしょう。
そしてそのシートを熱や力を加えることで結合しています。化学繊維は熱を加えれば溶けますからその性質を利用したもので、木材パルプを原料とする紙の製造工程にはない作業で、ここも織らない布と言うことができます(もっともフェルトも動物の毛を圧縮した不織布のひとつですから、これが決定的な理由にはなりませんが)。 ちなみに、不織布製造の機械設備は非常に大掛かりであるため投資額で数十億円単位、生産までには数年単位の期間も必要となります。ですから、投資を決定して数週間で増産という訳にはいきません。 ただ、COVID-19の危機以前から不織布の需要は伸びていて、数年前から大手メーカーでも増産のための投資が行われていたことから、それらの設備の稼働が始まれば効果もいくぶん期待できるかもしれません。
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