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跋扈する転売ヤーを封じ込められるか

新型コロナウイルス2019N-covの流行によって、国内ではマスクやアルコール消毒液に始まり、先週末当たりからトイレットペーパーなど紙製品にまで買い占め行為が横行し、巷のスーパーやドラッグストアの棚が空っぽになってしまっている。

一方、インターネット上の通販サイトやオークションサイトでは品薄な商品が高値で出品され、「転売ヤー」などと揶揄されている。


安く買って高く売るのは商売の基本

そもそも、モノを安く買って高く売るのは商売の基本である。

卸はメーカーから買った品物を買値より高い値段で小売に売り、小売は卸から仕入れた品を仕入値より高い価格でエンドユーザーに売る。これが商売の基本であり、消費税はこの仕組みに乗っている。つまり、本来は安く売って高く売ること自体に何らやましいことはない。

とはいえ程度の問題も

とはいえ、安く買って極端に高い値段で売るとなると、それは違うだろという感覚を持つ人は多いのではなかろうか。 では極端に高い値段というのはどのくらいか?というと難しい。モノによっては仕入れ値に比べて著しく高い値段で売っても喜んで消費者が買ってゆく商品もある。

感覚的に「暴利」と思っても、根拠になる理屈がない限りは法で規制するといっても難しいだろう。 マスク高額転売をどう考えるか-法的な規制は可能なのか|ニッセイ基礎研究所, https://www.nli-research.co.jp/report/detail/id=63836


基本的に政府はマーケットに口出ししないのが望ましい

ミクロ経済学では、政府による課税や規制を行うことにより「総余剰」が減少するとされている。総余剰はいわば社会全体の利益であり、総余剰の減少を厚生の損失という。 すなわち政府がマーケットに口出しすることは差は界全体の利益を損なうことになるので望ましくないというのがミクロ経済学の原則的な考え方である。

ところが、余剰分析の前提は完全競争市場である。完全競争市場とは(1)個々の経済主体は,自分の力で市場価格を変えることはできない。(2)売り手と買い手が多数存在する。(3)市場に関する情報を全ての市場参加者が持っている。(4)買手が売手に対して特別の選好を持っていない。という条件を満たす市場である。 現在のような不確かな情報によって買手が翻弄されているような状態では、買手に秩序正しい行動は期待できない。人が大勢集まる場所はコロナウイルス感染の期間があるというのに、スーパーやドラッグストアの前に行列を作り、陳列された商品に殺到する様はまさにその典型だ。 こういう状況で特に生活必需品となると、ネット上の販売サイトで暴利と思われる価格を提示している売手から商品を買わざるを得なくなる。


政府にできる対策

こうした不完全競争の状況では政府の介入はやむを得ないかむしろ積極的に行う必要すらある。

例えば高齢者介護施設にマスクや消毒液が行き渡らないような状況は大変危険な状況である。これを放置しておくわけにはいかないだろう。 トイレットペーパーの不足など、虚偽の情報でもたらされた需要の殺到には正しい情報で対抗するしかない。金融機関の取り付け騒ぎが起こった場合にはとにかく現金があることを見せて預金者を落ち着かせる手段が取られるというが、今回も経済産業省では品不足を否定する情報を発信しているほか、製紙メーカーや運送関係者が在庫は潤沢であることをTwitterなどで写真付きで流すなどでやや落ち着きを取り戻している。 マスクなどの場合は、政府が事業者に売渡し命令を出している。流通過程で消費者の足元を見て転売益を得ようとするような業者の介入の余地がなくなるから有効性は高いだろう。 台湾など海外でもマスクなどの衛生用品が品薄になっているが、個人IDカードを活用して購入を制限する方法を採っているという。

日本も政府がマイナンバーカードの普及を狙っているものの、個人情報の保護が過度に重要視され残念ながら現在のような危機的な状況でその効果を発揮できずにいるところが極めて惜しいところである。


ITが活用できない社会

現在のように社会が不透明な状況にある時にはIT(情報技術)の果たす役割は大きい。不確かなデマ情報が流れるリスクもある一方で、供給者や需要者の状況を把握することによりマーケットの見える化も実現できる。

オークションサイトに出品している転売ヤー達は商品が手に入らない人にも商品を供給していると主張しているが、現在の社会状況では単に流通を複雑にするだけの邪魔な存在でしかない。オークションサイトなどは犯罪や課税逃れの温床にもなりかねないから、早晩マイナンバーカードによる認証が導入される方向に進むのではないかと思われる。逆にそれさえできないようであればITなどに投資しない方が良い。やたらITだのAIだのに投資しても使い途のないガラクタを作るだけである。 そうなれば結局は転売ヤー達が跋扈するプラットフォームになるだけだろう。


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