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  • 執筆者の写真Frontier Valuation

20年前の"時代の寵児"の今から将来を読む

大塚家具がヤマダ電機傘下に

 昨日、苦境が伝えられる大塚家具の株式をヤマダ電機が取得し、傘下で再建を目指すことになったと伝えられた。  大塚家具といえばバブル崩壊のあおりを受け頓挫した臨海副都心構想もあった、東京・有明に巨大なショールームを設け、高級家具の分野で確固たる地位を築いていた。


20年前の時代の寵児の今 ・・GAFAも最初はGAFMAだった

 大塚家具といえば、特に90年代後半は時代の寵児と言える存在だった。  私が、まだ新人だったころ、ある団体が東京大学の伊藤元重教授を招き講演会を開いた。  当時の最先端のビジネスとして紹介されたのが、シネマコンプレックスのワーナー・マイカル・シネマズ、スポーツオーソリティ、トイザらス、そして大塚家具だった。後日その団体で、研修旅行として実際にワーナー・マイカル・シネマズや大塚家具の店舗に実際に見学にも行ったが、とにかくその規模と新しさに圧倒されたものである。  おそらく、この名前を見て「ああ..」と思われた方は多いと思う。一応その後どうなったか書いておくと、マイカルはその後程なく破綻、スポーツオーソリティとトイザらスは2010年代に米国の本体が破綻、大塚家具は前述の通りである。

 ちなみに、現在時代の寵児とされているGAFAも、最初の頃はGAFMAという呼び方をされていた。消えたMは何かといえば、マイクロソフトである。マイクロソフトも90年代はWindows95で一気に時代の寵児に躍り出た。破綻こそしていないが、GAFAに比べれば影響力は小さくなっているということで、相対的にGAFAに取り残された格好である。  さらに、大塚家具を傘下に収めたヤマダ電機も90年代からしばらくは同じく家電量販店のコジマと覇を競った時代もあったが、当時の勢いはない。

■アメリカとのタイムラグ

 街の小売店を破壊すると恐れられたスポーツオーソリティやトイザらスはアメリカでは破綻している。ただ、日本の子会社は奮闘しているようである。これらの業態は大規模店舗型のビジネスで、ショッピングモールと相性が良い。つまり、アメリカでは大規模店舗型のビジネスの時代はほぼ終焉で、日本も落ち目ではあるもののまだ大規模店舗ビジネスが生き残っている状況で、タイムラグがある。  ちなみにアメリカではショッピングモールが斜陽となっているから、空き店舗になっている部分が目立たないような工夫がされているという。空き店舗があるとどうしても場末感が漂ってしまうが、これを目立たせないような工夫がされているとのことである。日本ではまだこうした取り組みはなく、相変わらず「不動産的」な発想で手をこまねいている状況である。そうした「工夫」が日本でもタイムラグで採り入れられるかも知れない。

■次の時代のビジネスは

 明らかに「これ」とは言えないものの、最近議論されているAIやIoTのみならず、これと並行するビジネスが脚光を浴びるかも知れない。ベーシックインカムの議論がが富裕層からも提唱されているが、この辺もエヴィデンスのひとつではないかと思われる。  実際、士業でも年金を貰っている資格者がディスカウントに走って不毛な価格競争に陥っているという話を聞く。これでは若手が圧倒的に競争不利になるのだが、ベーシックインカムが導入されれば、少なくともそうした不平等はなくなる。  空腹が満たされた状況でやることが"ビジネス"といえるものになるかは分からない。むしろ、ビジネスという前に働く意義は何かということが重要になるだろう。

 

フロンティア資産評価研究会 松浦 英泰

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