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政府が猛プッシュするキャッシュレスをやらない店は滅びるか?

最終更新: 2019年11月27日

10月に消費税率の改定が行われ、増税による消費減退を押さえるため、経済産業省がキャッシュレス決済に対してポイント還元を行う施策を打っている。 何故キャッシュレス決済だけ優遇かと思うのだが、日本はキャッシュレス決済が進んでいないためIT化が遅れ、生産性向上の妨げになっているという指摘があるから、キャッシュレス化を一気に推進しようという狙いがあり、消費増税と絡めて進めれば一石二鳥という算段だと言うことは既に広く世で知られていることである。

ところが、政府の思惑通りにはコトは進まないようで、個人営業の商店でのキャッシュレス決済の普及は進んでいないようだ。 普及が進まない理由として「顧客に高齢者が多くて需要がない」という事情を挙げる店が多いという。こうした声に対し、推進する側は顧客がポイント還元を受けられなくなるなど、導入しないデメリットを説得の材料にしているが、あまり効果はあがっていない。   私の知っている範囲の個店でもこうした考え方のところもある。 逆に「何故この店で使えるの?」というサプライズな店もある。店構えが古風で顧客も高齢者しかいないと思えるような店に○○Payのステッカーが貼ってあったりする。 試しにそんな感じの店でキャッシュレス決済を使ってみたのだが、応対してくれた年配の女性に「○○Payで」と告げると、「ちょっと待って下さいね」と店の奥に行き、娘さんかお嫁さんかと思われる女性が出てきて対応してくれた。決済を終えると「○○Payで払ってくれたのはお客さんが初めてなんですよ」と話してくれ、「やはり」というか「想像以上」というか不思議な衝撃に襲われた。 もちろん、キャッシュレス決済が浸透するまでには時間がかかるだろうし、ポイント還元というインセンティブがあれば普及も進む可能性がないわけではないが、場違いなところに無理に普及させようとしても難しいのが現実である。

政府の施策や事務事業には素人目でも分かるようなマーケティング不在のものも多く、キャッシュレスのポイント還元も当初狙いにしていた層とは異なる人達が恩恵を受けることになるだろう。 一方で、逆に考えられることはキャッシュレス決済に対応しない店は閉店予備軍とかなりダブるのではないかとも考えられる。

経営者も顧客も高齢でキャッシュレス決済に対応できないとなれば、経営者が働けなくなった段階で閉店になる可能性が高い。

キャッシュレス決済に対応できない店が多いと言うことはそれだけ閉店予備軍も多いということであり、キャッシュレス決済を無理に推し進めようとするよりは将来の買い物難民を抑制する対策に活用した方が良いのではないか。 キャッシュレス決済の中でも、このところ特に話題のコード決済だが、使う方の立場としてはあまり使い勝手はいいとは思えない。

スマートフォンから呼び出すにしてもなかなかすぐには出てこない。ポイントカードもアプリになっていたりすると別のアプリを二度呼び出さなくてはならない。また、レジに並んでいるうちにコードを出しておくと使おうと思った瞬間に画面が暗くなってしまったり、コードの使用制限時間をオーバーしてしまってもう一度呼び出さなければならなくなったりして、かなり気むずかしい。むしろICチップを使ったSuicaやEdyの方が安定していて使いやすいと感じる。

それ以前に乱立する規格が困りものである。おそらく将来的には集約されると思われるが、コード決済に参入している面子を見ると寡占、独占になった時にデメリットが一気に噴出する危惧がある。


キャッシュレス決済も諸刃の剣であると認識して上手く付き合った方がいいだろう。

フロンティア資産評価研究会 松浦 英泰

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