メガソーラー? 低圧分割の問題
- Frontier Valuation

- 10 時間前
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最近、特に「メガソーラー」に対する批判の声が強まっているように感じる。 メガソーラーは文字通りメガワット級の発電能力を持つ施設である。メガワット級の発電施設はどの程度の規模になるかというと、概ね1ヘクタール(ha)は必要とされる。純粋にメガワット級の発電施設で必要なパネル面積だけで考えれば、0.5~0.7ha程度となるが、敷地いっぱいにパネルを敷き詰めると、パネル同士で影ができたりして発電できなくなることもあるため、もう少し広い敷地が必要だからである。 1haはどなたでもご存じの通り100m四方ということになるので、野球のグラウンドより少し小さいくらい、小学校のグランドの2つ分くらいということになるだろうか。 校外で田んぼや畑を転用したような発電施設を見ることがあると思うが、それらは大抵、「低圧」と呼ばれるもので、出力50kw以下の規模のものである。地方にお住いの方であれば比較的住宅地に近いところにもあったりするので、見かける機会も多いだろうし、実際のところ、日本国内の太陽光発電施設はこうした小口のものが多いのが特徴である。
「低圧」に優位な制度設計
こうした「低圧」の発電所が多い背景には、保守管理コストの問題もある。高圧の施設になると、電気主任技術者の選任や定期点検など、法令に基づく維持管理が必要となり、事業者にとって一定の負担が生じる。
一方、出力50kW以下の低圧設備であれば、こうした負担は比較的小さく、個人や中小事業者でも参入しやすい。このため、日本国内では小規模な発電所が数多く建設されることとなった。
メガソーラー低圧分割という行為
しかし、その一方で、本来であれば一つの高圧設備として建設すべき規模の発電所を、複数の低圧設備に分割して設置する事例も見られるようになった。こうした本来高圧の発電所を低圧になるよう小口に分割して「低圧分割」は、低圧設備に適用される制度上の優遇や維持管理コストの低さを利用することを目的として行われる場合があり、制度の趣旨に反するのではないかとの指摘も少なくない。
特に固定価格買取制度(FIT)の導入初期には、隣接する土地に同一事業者が複数の低圧設備を並べて設置し、実質的には一つの大規模発電所として運用するケースも見受けられた。このため、国は実質的に一体とみなされる設備については一つの発電所として扱う「分割案件」対策を強化し、制度の見直しを進めてきた。
フェンスを隣接発電所と共有している発電所は小口分割とみなされる可能性が強く、国も低圧の発電施設が集中する地域を調査し、小口分割案件に対する監視を強め、FIT(固定価格買取制度)の取消や、過去の売電収入についても返還を求める事例も発生している。
発電等設備の分割対策に関するQ&A(経済産業省・資源エネルギー庁)
https://www.enecho.meti.go.jp/category/electricity_and_gas/electric/summary/regulations/02_faq/index.html
事業者にメリットも大きな外部不経済が
こうした低圧分割は、事業者にとっては維持管理費の削減や手続きの簡素化といったメリットがあり、初期投資や運営コストを抑えられるという利点があった。
しかし、その一方で、電力会社にとっては、本来一つの高圧設備として扱うべき発電所を多数の低圧設備として個別に管理しなければならず、系統接続や運用面での負担が増加することとなった。また、地域社会から見れば、一見すると小規模な発電所が次々と建設されることにより、景観や環境への影響が分散して把握しにくくなり、実態としては大規模な開発であるにもかかわらず、十分な説明や調整が行われないまま事業が進められるとの批判も生じた。
さらに、固定価格買取制度(FIT)の下では、発電された電力の買取費用は最終的に再エネ賦課金として広く国民が負担する仕組みとなっている。そのため、制度上の優遇を利用した低圧分割案件が増加したことは、結果として再エネ賦課金の増加を通じて国民負担の拡大を招いたとの指摘もなされている。
こうした状況を受け、国は制度の見直しを進め、実質的に一体とみなされる複数の低圧設備については一つの発電所として扱う方針を明確化した。現在では、同一事業者による隣接地での低圧分割や、実質的に一体運用される設備を低圧案件として新設することは認められておらず、こうした手法による新規開発は事実上不可能となっている。
低圧分割排除へ
このような制度強化により、新規の低圧分割による開発は抑制され、制度の趣旨から逸脱したスキームは徐々に排除されつつある。
しかし、それでもなお課題が完全に解消されたわけではない。第一に、過去に認定された既存案件の扱いである。制度改正以前に適法として認定された低圧分割型の発電所については、現行制度の厳格化を遡及して適用することは難しく、一定数がそのまま運用され続けているのが実情である。

第二に、景観や土地利用をめぐる問題である。個々の設備としては小規模であっても、地域内に多数が分散して存在することで、結果的に広範な土地改変となり、森林伐採や農地転用を伴うケースも少なくない。これにより、地域の景観や生態系への影響を懸念する声は依然として存在している。
第三に、地域との合意形成の問題である。低圧設備は小規模であるがゆえに開発単位ごとの手続きが簡略化される傾向があり、地域全体として見た場合の累積的な影響について、十分な説明や調整が行われないまま進むケースも指摘されてきた。
このように、制度面の規制強化は進んでいるものの、既存ストックの存在や空間的な累積影響といった点においては、なお検討すべき課題が残されていると言える。
低圧分割物件所有者に求められる対応
こうした既存の低圧分割案件を含む太陽光発電設備の所有者は、今後の制度環境の変化を前提に、適切な対応を検討する必要がある。
まず基本的には、現行制度に適合した形で適正に運用を継続することが前提となるが、そのうえで設備の一体性や認定条件、保守管理体制について改めて確認し、必要に応じて整理・統合を含めた見直しを行うことが望ましい。また、売電契約や認定条件に関する書類を整理し、将来的な制度変更や監査に備えておくことも重要である。
一方で、こうした資産を保有し続ける場合には、いくつかの潜在的なリスクも存在する。第一に、制度変更による収益性の低下である。固定価格買取制度(FIT)の買取価格水準や適用条件が見直された場合、将来的なキャッシュフローが想定よりも悪化する可能性がある。
第二に、適合性に関するリスクである。過去に認定された案件であっても、運用実態が一体事業と判断された場合には、認定条件の見直しや是正措置の対象となる可能性があり、その場合には収益計画に大きな影響を及ぼし得る。
第三に、設備の経年劣化や保守コストの増加である。複数の小規模設備を分散して保有している場合、それぞれに維持管理が必要となり、長期的には管理コストが想定以上に膨らむ可能性がある。
さらに、将来的な売却や事業承継の局面においても、制度適合性や権利関係が複雑な案件ほど評価が下がりやすく、流動性の低下や資産価値の毀損につながる可能性も否定できない。
このため、単に「保有を続けるか否か」という判断にとどまらず、制度リスク・運用リスク・資産価値リスクを総合的に踏まえたうえで、中長期的な対応方針を検討することが求められる。
分割案件の解消も上記のように事実上の違法状態の可能性が高いということもあって、ESGが重視される再エネ施設としては流通性は低くなると考えられる。ESGに疎い事業者に売却することも考えられるが、近年は施設の所有権移転の場合でも周辺住民への説明会が求められるなど、行政が関与するスキームに代わっていてハードルは高くなってきている。いずれもかなりの難物になりつつあり、早期に対策を取る必要があるだろう。




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