11月9日に事業再生支援協会(SRC)静岡支部で「機械設備評価の今までとこれから」をテーマに講演してきました。
静岡支部は全国のSRCの中でも会員数が多く、隔月でセミナー開催の支部が多い中、毎月開催しています。
11月はいつも利用している静岡市産学交流センターが改装中で利用できないこともあり、支部長の事務所の会議室をお借りする形で行われました。
そんな所為か、参加者数も少なかったのですが、長円形のテーブルを囲んでの講演になりましたので、その都度質疑をいただきながらという、ちょうど大学のゼミのような形式になり、むしろ刺激があって楽しい講演になりました。
講演内容の一部「価値の種類」をここでご紹介します。 評価で求める価値としてメインになるのが公正市場価値です。 機械設備は定位置に据え付けられて使用されるものが多いですが、運搬、設置にまずコストがかかりますし、製品を生産する機械であれば、機械が設計通りに動くか、動いたとしてちゃんと売り物になるような製品が作れるか、テストして初めて使える状態になり、生産に供することができれば収入を得られることができます。 したがって、機械単体と生産のために稼働している機械と比べるとセットアップのコスト分価値が高いと言うことができます。継続使用の公正市場価値が最も高く、最近M&Aで会社を売却するケースが増えているのは、機械設備に投下した資本を最も高く回収できるからというのも理由の一つかもしれません。 破産、事業再生などで換価処分が強制される場合は、自由意思に基づいた売却ではないため、清算価値として、低位の価値のとどまらざるを得なくなります。 市場で物を売買する場合、より高値で買ってくれる買手を見つけるためには、情報を公開してある程度浸透させる期間が必要になります。また売却手続きにはそれなりの時間もかかります。この期間が長く確保できれば、より高値で売却するチャンスが高まります。 一方、競売のように短期間で叩き売る場合はどうしても価格面で訴求する必要がありますから価格が低位になります。この違いが通常清算価値と強制清算価値の違いです。(いたずらに長期間を設定すればいいという訳ではなく、あまり長い期間売却活動を続けると、売却コストも高くなりますのでバランスが大切です)。 債権者のためには早く資金回収するすることが求められますが、急ぎすぎると回収できる金額が少なくなり、価値に見合わない安いものが市場に出回ることになるためデフレ圧力になります。
アメリカの場合はどれだけ資金回収をできるかが破綻処理のスキルを図るベンチマークになるとのことですが、日本では早期回収が優先される傾向があり、デフレ回避のためにもぜひ多くの方に知っていただきたい知識です。 今回、双方向的な講演になりましたので、逆に財産評価に詳しい税理士の方から、不動産鑑定で国税を訴えてもなかなか勝てない理由について教えていただいたりと、私もとても勉強になりました。 評価ってどんなもの?という疑問にお答えできるよう、講演活動も進めていきたいと思います。勉強会などでご用命いただければ伺いますので、ご遠慮なくお声がけください。
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