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  • 執筆者の写真Frontier Valuation

太陽光発電施設の事業譲渡で住民説明会義務化に?

太陽光の事業譲渡、低圧集中設置にも「説明会」要件化
経産省、再エネ開発時「説明会の要件化」の詳細を公表(メガソーラービジネス)
https://project.nikkeibp.co.jp/ms/atcl/19/news/00001/03565/?ST=msb

 全国各地で太陽光発電施設が地域環境悪化の要因とされ、地域住民との摩擦が起こっている。経済産業省が8月7日に開催した有識者会議(再生可能エネルギー長期電源化・地域共生ワーキンググループ)では、太陽光発電施設の新設時に「地域住民への説明会」を要件化する方針を打ち出したが、さらに、事業譲渡の場合にも周辺住民への説明会を義務付ける方向性を打ち出している。


 一般的に、施設を新設する場合には物理的に現状を改変することになるために地域住民への説明は必要であると理解できるのであるが、事業譲渡、すなわち物的な変更は伴わず、施設の名義が変更になるだけである場合は物理的な影響も小さいと考えられるため、住民説明会は必要は生じないであろうと考えるのが一般的であり、開発や建築関連の法令でもそのような制度設計になっているものが多い状況である。そうした状況であるから、太陽光発電施設の事業譲渡で住民説明会というのはいささか過重な負担ではないかという印象も禁じ得ない。


 事業譲渡の場合にも説明会を義務付けるのであれば、資産としての流動化は鈍ることになる。今後、固定価格買取制度の終了によって、投資としての”旨味”が薄れた場合、より運用力のある事業者に施設を譲渡する方向で発電能力を維持する方向にもっていく必要があるが、そのような流れに水を差すことになるとも考えられ、不可解な流れでもある。


オーナーによって管理の良否は千差万別

 但し、現状の太陽光発電施設は施設によって管理の良否にかなりばらつきがあることも事実である。フェンスで施設をしっかりと囲って、施設内も雑草がほとんど生えていない施設もあれば、維持管理費を切り詰めることによって経費を圧縮し利回りをとことん追求するオーナーであれば、除草などは一切せず、施設の周囲にフェンスを設けることもしておらず、雨水を垂れ流し、周囲に土砂災害の危険を与えているような施設も見られる。所有者によって差があるということは事業譲渡によって所有者が変われば、管理が甘くなる可能性も皆無ではないだろう。

太陽光発電施設(イメージ)
太陽光発電施設(イメージ)

 実際に、譲渡された太陽光発電で、前オーナーが地域住民と除草や清掃についての協定を結んでいたのに、施設の譲渡に際して新オーナーに引継ぎが行われず、周辺住民の不満が高まっているという現場を見たことがある。  投資となると、損益計算ばかりに執着して、周辺の環境や事業リスクに関心が薄いプレイヤーが存在することは事実である。近年はESG投資といった観点から関心が高まりつつあったが、末端にまで浸透しているかと言えばそうとも言い難い。特に低圧物件のような小規模な太陽光発電施設への投資は個人レベルでもできることであるから、ガバナンスが効きにくい環境にある。  経済産業省では年末までパブリックコメントを募集しているが、どのような反響が集まるかは拝見したいところである。

再生可能エネルギー電気の利用の促進に関する特別措置法施行規則の一部を改正する省令案に対する意見募集について
https://public-comment.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=620123032&Mode=0

 電源としては社会的に一定の役割を持っている太陽光発電であるが、イメージとしては必ずしもいいものではなく、特に保守層からは厳しく糾弾する声すらある。脱炭素社会では電気の役割が大きくなるが、どのような発電方式でも賛否両論激しい対立があって、万人受けするような理想の発電方式はない。 社会の声を汲み上げて少しでも多くの人の理解を得るための不断の努力が必要であろう。

 

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