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  • 執筆者の写真Frontier Valuation

2023年版・蛍光灯が全く使えなくなるって本当?

2020年4月に「蛍光灯が全く使えなくなるって本当?」という記事をエントリした。 ネット上である会社が「2020年以降蛍光灯が使用禁止になる」というような広告を出していたことから、実際のところを調べたことで記事にしたものである。 結論から言うとこうである。

蛍光灯が全く使えなくなることはない

 少なくとも、蛍光灯を使うことが禁止になることはない。これは2020年当時でも、現在2023年でも同じである。蛍光灯を保有すること、使用することは禁止されてはいないのである。


但し、風向きは変わってきている。


直管蛍光灯を製造することは禁止された

 スイスのジュネーブで去る10月30日から11月3日の間開催された、水銀の使用や輸出入を国際的に規制する「水俣条約」の第5回締約国会議で、2027年末で直管型蛍光灯の製造が禁止されることになったためだ。既に電球型の蛍光灯は2025年末で製造が禁止されることになっている。禁止になるのは製造のほか輸入も対象となるので、2028年以降に直管型蛍光灯を入手できるのはそれ以前に製造された在庫品のみということになる。蛍光灯は消耗品であるから、切れてしまって、購入することもできなくなれば、結果的に使えなくなるということになるので、いずれ使えなくなることは確定と言っていいだろう。


有害物質使用の厳格化とLEDの普及

 規制強化の背景は前記事でも触れたとおり、有害物質である水銀の使用に厳しくなっている点にある。水俣病によって”水銀の有害性”は広く知られているところである。  環境中の水銀は大きく、「金属水銀」「無機水銀化合物」「有機水銀化合物(主に メチル水銀)」の3つの化学形態に分けることができる。蛍光灯に使われている水銀は「金属水銀」である。  水銀の有害性(毒性と言い換えてもよい)といっても、さまざまな水銀化合物がありその毒性は同じではないが、 主に2通りのメカニズムで生体に影響を及ぼすと考えられている。一つは、「無機水銀 化合物の腐食作用」である。これは無機水銀化合物の水銀イオンによるもので、生体 内外の表面に接触した場合、その細胞をただれさせる作用がある。そのため、経口 摂取した場合には、主に消化管内や腎臓に障害を与えてしまう。 もう一つが、水俣病を引き起こした「メチル水銀の取り込みによる障害」である。 メチル水銀がアミノ酸である「システイン」と結合体を作ることにより発現するもので、 特に毒性が強い。この結合体は、必須アミノ酸である「メチオニン」と構造が似ているた め、生体が持つ「必要なアミノ酸を吸収して輸送するシステム」の流れに乗ってたんぱく 質の一部として合成されてしまい、そのたんぱく質が正しく機能することを阻害する。  金属水銀による生体への作用はほとんど無く、また、誤飲しても消化管からはほと んど吸収されずそのまま排泄されることが多いため、あまり重篤な影響は生じないと考えられている。しかし、水銀蒸気になると、肺のガス交換機能により高率で吸収され、血流に乗って生体内を循環する。さらに、生体が持つ「血液脳関門」という防御バリアを通過、脳などの中枢神経にまで達してしまう。脳内に入ったのち、金属水銀が 生体の代謝を受けて水銀イオンになると、前述の「無機水銀化合物の腐食作用」に よって、部位に応じた障害を発現することになる。(環境省Webサイト掲載「不思議な水銀の話  翼を持った悪戯元素の秘密 水銀が毒として働くとき」から引用)  このように、蛍光灯として蛍光物質が密閉された管の中に封じ込められている通常の状態で使用されるのであれば全く問題はなく、例え蛍光管が割れて蛍光物質が外に漏れても直ちに重篤な健康被害が起こるわけではないが、廃棄処分の方法が不適切で条件が揃ってしまうと健康被害を引き起こしてしまうため、強い措置によって使用が禁じられるわけではなく、リスク管理の視点から段階的に使用を減らしていく措置が取られているものと推察される。代わりのものがないのであれば蛍光灯に頼らざるを得ないが、代替品としてLED照明がコスト面でも、性能面でも十分なレベルにまで成熟していることも大きいのだろう。

LED照明の意匠性は高い(麻布台ヒルズ)
LED照明の意匠性は高い(麻布台ヒルズ)

 規制の強化に加え、低メンテナンスで電力消費量も少なくデザインの自由度も高いLEDに比べれば蛍光灯は機能的、経済的な価値の減退が大きいともいえる。ただ、使用方法によってはLED照明では代替が効かないものもあると聞いている。  例外的なものを除けば、蛍光灯の役割は終わりつつあるのが現状と言っていいだろう。

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