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「太陽光パネルは廃棄処理出来ない」はデマ

更新日:2023年7月21日

エネルギーに対する議論はいつの時代でも論争を巻き起こすが、とりわけ21世紀に入ってから、価値観もめまぐるしく変わってきている。   地球温暖化の問題は1990年代から指摘されてきたが、温室効果ガスの問題が広く認識されるようになったのは21世紀に入ってからで、年々顕著になってきている。 電力については温室効果ガスを出さないゼロエミッションのエネルギーとして評価されていた原子力発電が東京電力福島第一原子力発電所の放射性物質漏洩事故によって急激に嫌悪されるようになり、それに代わって再生可能エネルギーである、太陽光発電や風力発電、バイオマスなどが急激にクローズアップされ、再生可能エネルギー拡大の政策が採られてきた。 思うに、電気を作るということは大なり小なり環境に負荷を与える行為であり、やり方をしっかりしないと温室効果ガスを減らすことはできても、その他の環境に悪影響を与える事になる。 太陽光であれば、広大な土地を必要とすることから景観の問題や、傾斜地を造成した場合土砂災害の問題、反射光による公害、耐用年数経過後のパネルの廃棄の問題。風力発電であれば、景観や、野鳥などの動植物への影響、低周波音による騒音公害、バイオマスは過剰に行えば森林資源の枯渇や食用にもなる油を使えば食糧問題も惹起するなどのデメリットがある。 最近、目にするのが太陽光パネルの廃棄の問題である。 固定価格買取制度が導入されて10年以上が経過したが、太陽光パネルの寿命が20年程度であると考えれば、遠い先の話というわけでもなく、そろそろ廃棄に備える時期であることは間違いないだろう。 SNSではいろいろな説が飛び交っており、「パネルが放置されて重金属が流れ出し健康被害が起こる」「重金属が使われているパネルは廃棄の方法が確立されていない」等と吹聴されている。 よくよく調べて見ればこれらは事実ではない。 現在使われている太陽光パネルの中でもカドミウムなどの重金属が使用されているもののシェアは数%程度で、90%以上はシリコン系のパネルである。シリコン系のパネルには鉛が含まれているものもあるが、鉛はあらゆる工業製品に使われている物質であり、処理ができないものではない。さらに近年は製造の段階から有害物質の使用に厳しくなってきていて鉛フリーの製品も増えてきている。 パネル処理のプラントも実際に存在しており、パネル処理を請け負っている廃棄物処理業者もあり、太陽光発電協会で業者を公表している 太陽光パネルはシリコンの他、ガラスやアルミなどの金属フレームで出来ている。処理プラントではこれらを分別して処理することになるが、そのようなプラントは既に実用化されている。 同様のものに蛍光管の処理プラントがある。照明などに広く使われていた蛍光管はLEDに取って代わられつつあるが、蛍光管には有害物質である水銀を含んでいるため、厳格な管理の下に処理されなければならない。蛍光管はガラスや金属の他水銀を含む蛍光物質を含んでいる。この水銀を処理出来る業者は日本国内では1社しかなく、北海道の専用プラントで処理されている。 安全性や健康被害の可能性といった観点からは太陽光パネル以上に厳格な処理が求められるものもあり、かつ身近で管理がいい加減なものも散見されるが、太陽光パネルだけが非難されるのは先入観や他意があっての行動なのであろう。 もっとも、パネルの廃棄について問題がないといえばそうではない。処理する以前に所有者が適切に解体しなければ処理には行き着かない。また小規模な発電施設といえども電力供給の一翼を担っていることには違いなく、ただ単に「はい、やめました」では済まされないのである。 反原発と同様、反再生可能エネルギーの動きもあるが、だからといって自説を有意にするため事実でないことを広めるのことには疑問を感じる。


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