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  • 執筆者の写真Frontier Valuation

低圧太陽光発電施設の格付評価


低圧太陽光発電施設のイメージ(写真ACより)
低圧太陽光発電施設のイメージ(写真ACより)

 本日(6月29日)、株式会社エクソルが一般社団法人日本資産評価士協会、株式会社CO2OSと太陽光発電施設の格付評価に関する業務提携を行ったとプレスリリースした。

2023年6月29日 プレスリリース
エクソル、CO2OS、JaSIAが協業体制構築
全国の低圧太陽光発電を評価・是正できる体制を確立  

  太陽光発電施設は2012年7月に固定価格買取制度(FIT)を開始して以降、設備容量は2012年からの年平均伸び率で26%に上昇。 FITの開始により、急速に設備導入量が増えてきた。  一方、固定価格買取制度の弊害として再生エネルギー賦課金で国民の電気料金負担が上昇すると言った問題も出ている。太陽光発電施設もパネル価格が大きく下落したことにより、設備の取得価額も急激に下がっており、入札制に移行した大口の買取価格は10円/kwを割り込み、現在では9円台/kwで推移している。この買取価格であれば原子力発電と同等か少し安い水準であると言われ、FITからフィードインプレミアム(Feed-in Premium:FIP)へ移行しつつある。また、FITにより各地に出現したメガソーラーも買取価格の下落や、景観面で忌避されるケースが増えていることもあり、新設は中小規模、特に低圧の施設にシフトしている。  その他、中長期的には初期にFIT認定を受けた物件も20年の買取機関が2032年から徐々に始まってゆく。ソーラーパネルの寿命は20~25年と言われているが、メンテナンスを適切に行って40年近く発電を続けている施設も存在するとのことである。但し、買取期間満了後の買取価格は、FITの終わった住宅用などで現在の”時価”である8~9円/kw程度が多く、産業用のものも同程度だとすると、それまで最高約40円/kwで売電していた事業者にとっては、「寂しい価格」と感じることは間違いないだろう。やる気を失った事業者が施設を放置するようなことになれば、懸念されている太陽光パネルの大量廃棄問題がおこったり、順調に伸びてきた電力供給が減少するリスクも考えられる。  国のレベルでもこうした予測に立って、発電事業者の集約化、パネルの廃棄問題への対処など、起こりうる問題に対処出来る体制を整えている。    そんな中で、所属する日本資産評価士協会(JaSIA)の内部でも、評価の立場からこの問題に対処することはできないか検討されてきた。2019年度には産業技術総合研究所の調査事業の現地調査をJaSIAで受託し、全国300カ所の低圧発電施設の調査が行われた。  調査対象が低圧施設となったのは法規制の厳格な高圧、特別高圧などの大規模施設(いわゆるメガソーラーがこれに該当する)に比べ、低圧の施設は法規制が緩く、行政の監視が行き届かないため施設の実態把握をする必要があったからであるという。


 今回、JaSIAが株式会社エクソルが展開する「XSOL SOLAR STAR制度」にCO2OSと協業し、調査に協力することになった。前述の小規模施設の問題を解決する方法として、小規模施設をまとめて運用する「バルクファンド」の役割が大きいと考えられており、施設の譲渡を行う際のデューデリジェンスとしても、全国での実走調査の必要性が高く、全国的規模で機械設備評価人や不動産鑑定士にネットワークを持つJaSIAの強みが活かせると考えられたためである。  近年の小規模化傾向があり、FITの初期に社会貢献や手軽な投資としてはじめた個人や小規模法人も多い。小規模事業者や発電事業者のノウハウがない異業種参入企業が発電事業者としての重い責任を負担しきれない場合の受け皿として「バルクファンド」が期待されており、円滑な取引を支援することによって太陽光発電のサスティナビリティ、適正な施設が増えることで、太陽光発電による公害を抑制といったアウトカムが評価の立場として格付評価事業に参入する最終的な目的になる。    本格的な展開に向けて準備は整いつつあるが、チャレンジングな試みであり、まだまだ試練はあるだろう。社会的な意義の高い事業であり、多くの皆様にご利用戴き、お役に立てれば幸いである。


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