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執筆者の写真Frontier Valuation

PCBの処理期限が迫る

更新日:2021年3月5日

名刺管理アプリ「eight」を利用しているが、タイムラインに経産省から「PCB廃棄物の適正な処理のお願い」という広告が表示されていた。


PCBとは何か

PCBといえば注意しなければならない有害物質を代表するようなもので、不動産・機械設備を問わず評価の仕事に携わる人は知っておかなければならないものである。評価の分野ではなくてもほとんどの人が知っているのではないだろうか。 正式名称はPoly Chlorinated Biphenyl(ポリ塩化ビフェニル)といい、その頭文字を取ったPCBが略称である。人工的に作られた油脂で、熱に強く、絶縁性が高いといった特性から、コンデンサなど電気関係の機器にかつて使われていた物質である。 油脂であることから、人体に取り込まれると体内の組織に沈着してしまい、癌や神経障害など様々な健康被害を引き起こす。食用油にPCBが混入し健康被害を生んだカネミ油症事件は重篤な公害として広く知られている。日本では1972年に製造が中止され、回収が指示されているが、PCBは処分が難しく、具体的な処分の方法が決まったのは2000年代に入ってからである。


期限内に処理する必要性

PCBは2004年から全国5箇所の処理施設で処理を開始したが、その期限が迫りつつあるというのが、先述した経産省の告知である。 北九州では処分期限が既に終了し、大阪は今月末が期限、その他も来年には期限が到来する。期限までに処理ができない場合はその後は処理ができず、所有者が保管しなければならなくなるという。 有害物質であるから厳重な保管が求められる。不動産の実査に行ってPCBが保管されているスペースを確認したことがあるが、いずれも人が容易に立ち入られない場所で保管されていた。処理ができず永久に保管が義務づけられるとしたら、建物の取り壊しの際に大きな問題になることは想像に難くない。

事実上の義務づけ?

しかし、毒性が高い物質を半永久的に保存することは果たして可能であろうか。 PCBに関しては「ポリ塩化ビフェニル廃棄物の適正な処理 の推進に関する特別措置法」(PCB法)が規定されている。

「何人も、原則としてPCB廃棄物を譲り渡し、又は譲り受けてはならない」(PCB法11条)「事業者について相続、合併又は分割(その保管するPCB廃棄物に係る事業の全部を承継させるものに限る。)があったときは、相続人、合併後存続する法人若しくは合併により設立した法人又は分割によりその事業の全部を承継した法人は、その事業者の地位を承継する。」(PCB法12条)とされていて、原則として譲渡、譲受はできず、相続やM&Aの場合には承継人にその責任が移転することになる。 そのため、処分ができないとなれば他人に譲渡はできず、子々孫々その保管責任が受け継がれることになる。PCBの製造が中止されてまもなく50年になるが、さらに50年、100年と責任を持って保管し続けることはできるのか、保管する容器が物理的に耐えられるか等を考えれば、予測は難しいと考えられ、半永久的に持ち続けることは現実的でないだろう。 したがって、処分は事実上義務づけられたものと捉え、処分漏れがない用にしなければならないだろう。 [参考] 環境省_ポリ塩化ビフェニル(PCB)早期処理情報サイト

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