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「コンパクトシティ」は幻想ではないか?

最終更新: 5月21日

コンパクトシティとは何か?

コンパクトシティ(英: Compact City)とは、都市的土地利用の郊外への拡大を抑制すると同時に中心市街地の活性化が図られた、生活に必要な諸機能が近接した効率的で持続可能な都市、もしくはそれを目指した都市政策のことである。 人口減少と高度経済成長期に建設された道路、上下水道等のインフラ老朽化という現実の中で、減少する税収と増加する更新コストを解決する手段として有効だと考えられているのがコンパクトシティである。

コンパクトシティ政策の現状

コンパクトシティを目指す政策が各所で事業化されてきたが、ここにきて青森市のアウガのように当初成功例とされてきた事業が破綻するなど、行き詰まる自治体も出てきた。 アウガ、ショッピングフロア閉店へ-ほぼ全館が公共施設に | 都市商業研究所 また、行政の施策も中心部に"受け皿"を作ることだけが事業化され、郊外をどうするかについてはほとんど考えられていないケースも多い。

「コンパクトシティ」はハコモノづくりの口実 | フロンティア資産評価研究会コラム 郊外に関して行政が無策であることを裏付けるように、12月27日の日本経済新聞朝刊では居住地域の膨張が依然続いていると報じられた。 郊外の宅地開発が止まらない。日本経済新聞の分析で、2015年までの10年間に生まれた居住地区の総面積が大阪府の広さに匹敵することがわかった。国や自治体がめざすコンパクトシティー形成から遠ざかっている。 #日経ビジュアルデータ

しがらみのない新築の方が好まれる

一般的に既成の中心市街地の土地は細分化され権利が複雑である。したがって、まとまった土地は少なく、まとめて何かやろうとすれば数十年の期間を要するし、何より面倒な交渉ごとを忍耐強くやらなければならないから非常に負担が重い作業になる。郊外の未利用地であれば、地価が安く、法的な規制があることを除けば自由である。住む人の立場からしても、古くからの街に新参者として雑巾掛けから人間関係を作って行くのと、何もない新しい場所に集まってきた人達で上下関係のないコミュニティを作るのとでは、おそらく後者を選ぶ人が多いのではないか。 思いが重すぎると負債になる ~ 思いの成仏をさせないと空き家はなくならない | フロンティア資産評価研究会コラム

  使い捨ての不動産

真っ新なキャンバスに自由に絵を描くのと、他人が昔描いた絵に書き足すのでは前者の方が自由でいいかもしれないが、時が経てば真っ新だったキャンバスも他人が昔描いた絵のひとつになるから、その時の消費者は真っ新なキャンバスを買いに走るだろう。 住宅も同じで、新しい住宅がどんどん供給される一方で空き家が増えてゆく。中には誰にも管理されず朽ち果てて周囲の環境を悪化させる特定空き家も出てくる。結局はこうした空き家を片付けることになるのは行政ということになる。問題は空き家だけではない、使う人のほとんどいなくなった上下水道、道路、高台などでは法面などのインフラや構造物をどうするかの問題が出てくる。

撤去費用や将来コストを考えさせる必要性

将来の問題が指摘されている太陽光発電については撤去費用の積み立てが義務づけられることになった。太陽光発電は固定価格買取が認められた施設は、20年間電力会社に発電した電力を買い取ってもらうことができるが、この期間が終わった後パネルなどの機器が大量に廃棄される恐れがあると懸念されており、将来に備えて撤去費用を見積もり、その額を毎期の売電収入から積み立てることになった。 太陽光発電の設備廃棄費用22年までに積立を義務化 | フロンティア資産評価研究会コラム 住宅についても同様の措置が取られるべきではなかろうか。また、新規の宅地開発についてはマンションの修繕積立金のような、将来のインフラ更新の分担金の積立も義務づけるべきだろう。 現在はこうした撤去コストが除外されているため、新規開発の物件の"コスパが良い"ということになってしまい居住地の面積が拡大を続けているのではないか。使い終わった後のツケを他人に回すのではなく責任持って処分してもらうコストをしっかり乗せれば、コンパクトシティが本気で考えられるようになるのではないかと思う。 成長に限りのある時代にはあとの人が上手くやってくれるということは期待できない。出口まできちんと考える必要がある。

フロンティア資産評価研究会 松浦 英泰

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