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  • 執筆者の写真Frontier Valuation

依然タイトな高力ボルトの需給

更新日:2020年3月27日

高力ボルトの需給は依然タイトのようだ。 関係のある建設業者に話を聞くと、ほぼ一様に「納期は半年」という。   ■今年(2019年春頃)が最もタイトだった 高力ボルトの不足の声が特に強まったのは昨年あたりからだった。 特に、今年の春頃が最もタイトで、この頃国土交通省が対策に乗り出している。 最長6.5ヵ月に緩和/需給ひっ迫が沈静化/高力ボルトの納期長期化問題 | 建設通信新聞Digital https://www.kensetsunews.com/archives/389970

上記の記事によれば、19年3月には納期が8ヶ月程度にまで延び、現状では6.5ヶ月程度まで緩和されているとされている。「納期は半年」という建設業者の話とも合致する。


■国土交通省による発注様式の統一化 

高力ボルトの需給緩和のため、国土交通省は5月に発注様式の統一化に乗り出した。 市場について調査したところ、需要と供給には極端なアンバランスはないことがわかったことから、増産で対応するのではなく流通の改善で対策を講じることにした。 高力ボルト重複発注など市場混乱抑制のため発注様式を統一 納期・納入先が明確な注文を徹底

~更なる納期長期化傾向受け、国交省が鉄骨業界等へ要請~


高力ボルトに留まらず、他の業界でも需給がタイトになるケースもあり、調べて見ると少数のメーカーに多数の流通業者が存在する実態が明らかになることが多い。高力ボルトもこうした構図になっていた。 メーカー少数で、流通業者が多数の場合に品不足になると需要者は一刻でも早く入手しようと複数の流通業者に同じ発注を出す。そうすると1つの需要に対し需要者が5社に注文を出すとメーカーには5つの注文に見えてしまう。 商品が大ヒットしたメーカーがブームが去ったあと過剰在庫を抱えて倒産するような話を聞くが、よく確かめずに注文通りに生産してしまうと倒産の憂き目に遭ってしまう。 特に、建築をはじめ社会インフラに欠くことのできない高力ボルトの安定供給は維持する必要があり、国土交通省の対応は適切だったと言えるだろう。   ■とはいっても入手は困難 需給のアンバランスで起こる弊害をなくすために関係機関が動いてはいるものの、やはり依然として納期は6ヶ月とされていて、決して短くない。 一昨年工作機械が空前の活況で納期が延びた際には、本コラムの記事にも多数アクセスがあったが、世界経済の減速で需要が減退すると一気にアクセスが減った。 高力ボルトの記事に対してはアクセスが多いため、アクセスが多いということは品不足に直面してネット検索で調べている方が少なからずいるということであり、未だに入手は楽ではないことの証左であるだろう。 右肩下がりの予測で事業拡大は難しい 高力ボルトはかつて「あって当たり前」の部材であったという。 しかしながら、経済の縮小、公共事業の削減の動きも相俟って需要は減少し、供給力も落ちていた。そんな中で突如降って湧いた東京オリンピックで建設需要が急増し、一気に需給がタイトになった。 東京オリンピック関連の工事はほぼ終了しているといわれているが、しばらくはオリンピック特需に追いやられてしまったその他の建築工事、オリンピック後に本格化すると言われるインフラ更新工事の需要に支えられるとみられるが、高度成長期のようにイケイケどんどんで生産拡大という局面は考えにくく、景気後退による需要減退が起こることによって需給が緩む可能性が強いのではないかと思われる。 中小企業が消えた産業、「高力ボルト」が足りぬ夏(日経ビジネス) https://business.nikkei.com/atcl/gen/19/00080/111200004/

 
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