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公的統計の不適正処理と公正価値評価

最終更新: 2019年3月11日

厚生労働省が 基幹統計である「毎月勤労統計」で不適切な処理を行っていたことが発覚し、波紋が広がっている。 "不適切な処理"は長期間にわたって行われていたことが明らかになっており、実態は組織的な数値操作だったように報じられている。

 

データをエヴィデンスとして利用している我々のような立場からすれば、実に困った問題である。「毎月勤労統計」は機械設備評価で多用されるものではないものの、例えば工場のラインでボトルネックがあり、これを原因として超過労働が発生する場合には基礎的なデータとして活用する可能性は考えられる。実際に経済的退化の算定において労働関係のデータを引用したことがある。   統計のデータが改竄されていた場合、それを根拠に算定したものも実態を反映しないことになるから影響は大きい。現に、来年度予算の算定においても見直しが行われるようであり、影響は出ている。 もうひとつは、厚生労働省、あるいは政府の統計が信用に足るべきものであるかという疑いが持たれてしまうレピュテーションの問題がある。こちらの方が厄介かもしれない。 意地悪なレビュアーが「政府の統計を用いているが、どうしてこの統計の数値が正しいと言う判断をしたのか」などと説明を求めてきたら大変苦しい。

 

評価を行う上で数字の根拠となる資料については評価人が判断しなければならない。しかし、すべての資料についてその当否を判断するのは現実的ではない。政府統計のような大規模なものについて一つ一つデータを検証するなどと言うことは不可能であり、実務上は「用いた各データは正しい」という評価上の前提をつけて評価を行うが、それでも妥当性を吟味することなく何でもデータをぶち込めば良いと言うことにはならない。 不正が行われているという疑いを持たれているデータをあえて使おうとすれば説明義務は重くなる。  

データの特性や信頼性の限界は常に考慮しなくてはならないが、本来信頼度の高い公的機関のデータも疑わなくてはならないようでは使う側としてもストレスである。 事実はひとつしかないのだが、他でも同じようなことが行われていないことを願うばかりである。

米国鑑定士協会認定資産評価士(機械・設備)

松浦 英泰

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