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「負ののれん」

最終更新: 2019年3月11日

先週、トレーニングジム大手のRIZAPが業績見通しを大幅に下方修正し、今期は赤字に転落すると発表した。 その原因となったのが「負ののれん」である。

「のれん」(goodwill)とは、企業の買収・合併(M&A)の際に発生する、「買収された企業の時価評価純資産」と「買収価額」との差額のことである。(Wikipediaより)


「のれん」は買収価額が買収された企業の時価評価純資産より高い場合の差額である。 国際財務報告基準(IFRS:International Financial Reporting Standards)では、「のれん」を資産計上することを義務づけている。一方日本の会計基準においては「のれん」を一定期間内に償却するように義務づけている。 「のれん」は換金性の乏しい擬制資産であり、企業の財政状態に対する利害関係者の判断を誤らせる恐れが強いためである。 「負ののれん」は「のれん」とは逆に買収価額が買収された企業の時価評価純資産より低い場合の差額である。

「負ののれん」の会計処理は生じた会計期間の利益として計上することになっており、 「負ののれん発生益」 といった形で特別利益として計上される。 しかし、その利益は事業活動で得た利益ではなく、割安に資産を購入できたことによる評価上の利得であるから、買収した会社の業績が不振のままであったら、いずれ"化けの皮"が剥がれることになり、結果として利害関係者の判断を誤らせることになる。 もっとも「負ののれん発生益」は損益計上されるのであるから、「負ののれん」の性質を知っていれば不測の損害を被ることはないのかもしれない。 評価上も問題はある。企業あるいは事業の価値は事業評価において、インカムアプローチで算出される。企業収益は大きく変動するものであるが、純資産の価値は企業収益のように大きく変動するものではない。よって資産を持っているのに業績が思わしくない企業を買収した場合、企業の純資産額と事業価値がかけ離れてしまう。 純資産価値の評価においても考えるべきことがあるのではなかろうか。 機械設備評価においては、超過資本コストや経済的退化(E/O: Economic Obsolescence)の適切な計上などが必要になるのではないだろうか。

 

特にE/Oの計上は事業評価の色彩が強くなるため、機械設備の評価人には非常に難しく、ハードルが高い。機械設備の評価人にもこの辺りの対応力が試されるようになってゆく可能性が高いのではないかと考えられる。

米国鑑定士協会認定資産評価士(機械・設備)

松浦 英泰

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