休日に何気なくネット記事を見ていたらこんな記事を見かけた。
JR九州、「鉄道黒字化」の裏にある大胆仕掛け 固定資産のうち「車両」はわずか1億円
|鉄道ビジネス - 東洋経済オンライン
JR九州の鉄道事業が黒字化したと言うことであるが、そのカラクリが固定資産の減損にある という記事である。 JR九州が保有する鉄道車両は1,677両あり、その総額が貸借対照表上では1億円と計上されているとのことであり、この記事の筆者が1億円の根拠を探っているところが興味深い。
実際のところ、減損損失の判定に当たって公正価値評価が行われたかどうかは分からない。
公正価値評価をやるとなれば九州といえども広範であるし、1,677両と言う膨大な数を処理しなければならない。評価を行うとなれば何らかの合理的な方法で個々の資産の状況を把握しなければならない。1両ずつ実査していたら仕事にならないから、整備記録など信頼できる書類による調査を行っているのだろう。
しかもJR九州と言えば、有名デザイナーに依頼して古い列車を豪華にリノベーションすることに長けているから、機械設備の評価としては決して楽ではないはずだ。
だいぶ前に書かれたものではあるが、記事では1億円の"正体"が近時導入した 観光列車「ゆふいんの森」の増結用車両ではないかと推測している。 私にも正解は分からないが、あれやこれや詮索しているのを見るのも面白いものである。 しかし、評価の観点からはいくら鉄道事業の収益力が乏しいといえども、実際に事業に供されている資産の評価額にしては低すぎる印象が拭えない。まさか公正価値評価をやらず、機械設備に税法上の基準をそのまま当てはめて簿価を1円まで切り下げるような"評価"はしていないだろうが、そうでもしなければ出ない数字である。 企業会計と税務会計は別物なので税務上のメリットはないと思われるが、資産の評価を低く見積もると収益力が過大に評価される恐れがあり、それはそれで投資家の企業の財政状態や経営成績に対する判断を誤らせかねない。
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