オフロード法と呼ばれる法律をご存じであろうか。 正式名称を「特定特殊自動車排出ガス規制法」といい、公道を走行しないオフロード特殊自動車にを対象にした排出ガス規制である。
近年、化石燃料を燃料とする内燃機関(エンジン)を持つ自動車に対する排出ガス規制が強化されている。特に黒煙や窒素酸化物の排出が多いディーゼル車に対する規制は厳しい。
しかし、ディーゼル車には馴染みの深いトラックやバスのような大型車だけでなく、通常は公道を走らない(オフロードの)建設機械などもある。大気汚染の防止を図るにはこうしたオフロードの車両にも規制をかける必要がある。
2006(平成18)年4月から規制が行われていて、基準は順次強化されている。2014年基準が最新の規制で、一定の猶予期間を経てその後販売される新車に対しては基準への適合が求められるが、規制強化以前に製造された車両に新基準が遡及的に適用されることはなく、問題なく使用できる。
基本的に排ガス規制強化は新車の価格を押し上げる効果がある。開発コストが複雑である上、排気ガス浄化装置を追加で付加する必要があるから割高になるようである。
特に問題が大きいのは特に海外に輸出される中古車であるという。 排出ガス規制は国によって異なるため、一般に先進工業国では厳しく、新興国では緩い。そのため、日本で使わなくなった中古車を海外に持ち出すと問題が起きる。 日本のような規制の厳しい国では排気ガスの浄化装置を装着する必要が出てくるが、規制の緩い国で使う分には不要である。前述のように、排ガス浄化装置を搭載すると機器自体が大きくなる傾向があり、現地では「無駄な装置」が装着されることで作業効率が悪くなる。また、規制に対応した車両はそれに対応した燃料を使用しなければならない。軽油などでも日本で販売されるものは触媒の働きを低下させる硫黄分が低くなるように精製されているから、現地で調達する燃料と相性が悪くなってしまう。
このため、新しい規制に対応したオフロード車は売れ行きが悪く、むしろ規制強化前の車両の方が高値で取引されるのが普通であるという。
評価作業で建設機械が対象に含まれることが多いが、製造年、対応する環境規制、燃料等についても調査しておくことが必要であろう。
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