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次々と出てきたペロブスカイト支援策

  • 執筆者の写真: Frontier Valuation
    Frontier Valuation
  • 7月16日
  • 読了時間: 3分

最近、ペロブスカイト型太陽電池に対する行政の支援策が次々と打ち出されている。 経産省は温室効果ガスの排出量の多い事業者に設置目標義務を課し、ペロブスカイト型太陽電池の普及に弾みを付けようとしている。 太陽光、工場や店舗に設置目標義務 26年度から1.2万事業者対象


東京都も財政力を活かして民間導入に対し100%補助を打ち出している。


曲がる太陽電池、東京都が民間導入100%補助へ 普及を後押し


 パネル型の太陽電池の普及は、当初は日本が技術開発を主導し、世界をリードしてきたが、ほんの数年のうちに中国に主導権を奪われ、もはや巻き返しの効かないレベルにまで突き放されてしまった。2011年から12年の間にパネル価格が半額になったと言われ、そのあたりが決定打となった。

薄く軽量で柔軟性があるのが特徴(AIイメージ)
薄く軽量で柔軟性があるのが特徴(AIイメージ)

 中国は将来有望な技術とみるや、その分野に国家を挙げて破壊的な投資を行い、独占的な市場を作り上げてしまう。太陽光のみならず、通信やドローン、電気自動車、蓄電池など、あらゆる分野でこうしたことを行うから、新分野も瞬く間に全く夢のないレッドオーシャンに変貌してしまう。  勿論、ペロブスカイト型太陽電池もご多分に漏れない。既に研究開発分野では中国の存在感が圧倒的になっていると言われる。  ただ、日本に勝機があるとすれば、ペロブスカイト型の電池の主な原料となるヨウ素は日本が世界でも大きなシェアを占めるほど豊富に資源を持っており、数少ない戦略物資となっている。また、太陽光パネルを設置できる適地も少なくなってきている。各地で環境破壊が問題視され規制が強まっており、一部の自治体では大規模な施設(メガソーラー)に対し規制をかけている。最近、太陽光発電施設の発電施設の現地調査で、低圧の施設を見て回っているが、規制が強化されている新設の施設でも大なり小なり問題を抱えており、野立ての施設を大きく伸ばすことは難しいだろうと常々感じている。そんな中で、すき間を上手く利用できるペロブスカイト型電池であれば設置の自由度が高く、発電量を稼ぐことが期待できる(問題は配線ができるかどうかであるが)。 中国メーカーはタンデム型に力を入れているため、日本メーカーがニッチ市場で活躍できる余地は生まれる。

 また、ペロブスカイト型電池はコーターという塗工機械で製造する。コーターはフィルム加工で使われる機械で、この分野では日本企業に強みがある。こうしたこともプラスの材料である。  また、圧倒的な投資で価格競争に持ち込み自国の独占市場を作りたい中国の思惑に日本は勝ち残ることができるか。なんといってもコストがものをいう世界であり、コストを下げることが至上命題である。導入支援はいいが、結局コストで優る中国製ということにならないよう、ペロブスカイト支援にもう一段踏み込んでみる必要もあるのではなかろうか。

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