純資産価額方式で非上場株式を評価する場合の機械設備の時価評価について、前回の記事で、「強制清算価値」が採用できるのか? という検討をしましたが、下記の評価の原則からすれば、採用は困難であると考えられます。
財産評価基本通達1 (評価の原則)
1 財産の評価については、次による。(平3課評2-4外改正)
(1) 評価単位
財産の価額は、第2章以下に定める評価単位ごとに評価する。
(2) 時価の意義
財産の価額は、時価によるものとし、時価とは、課税時期(相続、遺贈若しくは贈与により財産を取得した日若しくは相続税法の規定により相続、遺贈若しくは贈与により取得したものとみなされた財産のその取得の日又は地価税法第2条《定義》第4号に規定する課税時期をいう。以下同じ。)において、それぞれの財産の現況に応じ、不特定多数の当事者間で自由な取引が行われる場合に通常成立すると認められる価額をいい、その価額は、この通達の定めによって評価した価額による。
(3) 財産の評価
財産の評価に当たっては、その財産の価額に影響を及ぼすべきすべての事情を考慮する。
というのも「それぞれの財産の現況に応じ、不特定多数の当事者間で自由な取引が行われる場合に通常成立すると認められる価額」とされている以上、売買が強制されることを前提とする”清算価値”を採用する余地がないからです。 一般に、価値の水準としては「公正市場価値」>「通常清算価値」>「強制清算価値」であるので、時価評価をした場合は、理論上は高めの水準で価値が把握されることになります。 (評価対象物の状態等により理論上と同じ結論が出ない場合もあります)
簿価との関係ではどのようになるのか
全てのケースがどうかはわかりませんが、資産台帳に記載されている資産の価額よりは高めの水準になることが多いです。これは、資産台帳の価額は減価償却の未償却残高であって、時価ではないからです。基本的に資産台帳に記載されている価額は、別に時価評価を行っていない限り「簿価」であり、時価とは異なります。
財産評価基本通達に記載されているやり方でも、資産台帳に記載されている価額とは異なる価額が求められるはずです。
専門家の目線で評価する意義はどこにあるのか
具体的な評価額はどの程度であるか
株価を安く算定するために安く評価できるか
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