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  • 執筆者の写真Frontier Valuation

純資産価額方式で非上場株式を評価する場合の機械設備の時価評価

更新日:5 日前

 先日ある勉強会に出席していて、非上場株式の売買の話題になりました。  株式は、株式会社の資本を所有するために発行される証券であり、株主は、株式を所有することにより、会社の所有権と経営に参加する権利を持ちます。  上場会社の場合、株式の所有者は取引市場において売買することが可能です。一方で非上場会社の場合は取引市場はなく、さらには株式の譲渡には会社の承認が必要になることがほとんどです。非上場株式を発行しているのは中小の企業が多く、会社の規模も小さいので譲渡を自由にしてしまうと容易に経営権を握られてしまう恐れがありますので、譲渡に制限を設けています。  取引市場で株式が取引可能な場合は、市場で売手と買手が取引の希望額と数量を提示して、両者の条件がそろえば取引成立となり、売買価格が決まりますので、株式の価値、株式の価値の合計である企業の時価は容易に知ることができます。  一方で、非上場の株式の場合は取引の市場がないため、上場企業のようなベンチマーク(指標)はなく、株式の時価を知るためには評価の作業が必要になります。  結局のところ、会社の価値の算定をやることになりますので、事業評価ということになります。事業評価は米国鑑定士協会(ASA)でも専門分野があり、不動産や機械設備の評価とは別の専門分野になりますが、基本的にはマーケットアプローチ、コストアプローチ、インカムアプローチを基礎とする各手法を駆使して評価することになります。  取引市場のある会社の場合は株式が市場で取引されているのでマーケットアプローチでの価値の把握は容易です。非上場の会社の場合で、特に小規模の会社の場合は純資産価額方式がメインに使われます。純資産価額方式はコストアプローチの一つで、大まかに言えば、企業の持つすべての資産からすべての負債を控除したものが純資産価額ということになります。  資産には有形資産(土地、建物、機械設備、在庫等の動産)や無形資産(特許権などの知的財産など)があり、これらをすべて評価することになります。機械設備も含まれますので、実際に評価のご依頼をいただくことはあります。ケースとしてはM&Aが多く、その場合事業継続を前提とした継続使用の公正価値評価で対応してきました。


 冒頭の勉強会で出た事例は、主に相続の場面で相続税評価を前提とした評価についてでした。相続税評価の場合、特に動産は税理士サイドで処理してしまうケースが多く、当会関係では例外的に庭園の評価をしたケースはあるのですが、非上場株式を評価する場合の機械設備の時価評価は、なかなか専門の評価人に案件が回ってくることがないというのが現状です(税理士は時価評価の専門家ではなく税務申告の専門家ですから、理論的に正しい評価をしているかどうかは定かではありません。評価に関する専門的な知識を持つ税理士でない限り、税務申告で使用する場合においてのみ妥当な時価を求めているのではないかと思います)。  一般動産の評価について、財産評価基本通達では次のような規定があり、これによって処理されているものと考えられます。

財産評価基本通達129(一般動産の評価)
 一般動産の価額は、原則として、売買実例価額、精通者意見価格等を参酌して評価する。ただし、売買実例価額、精通者意見価格等が明らかでない動産については、その動産と同種及び同規格の新品の課税時期における小売価額から、その動産の製造の時から課税時期までの期間(その期間に1年未満の端数があるときは、その端数は1年とする。)の償却費の額の合計額又は減価の額を控除した金額によって評価する。(昭41直資3-19・平20課評2-5外改正)

 勉強会の後、非上場株式評価実務の解説本を何冊か読んでみたのですが、いくつかの本で相続税の評価の場合は少し異なる考え方で評価しなければならないという見解が示されていました。その考え方とは「相続開始時にその会社が解散した場合にどのくらいの配分が受けられるか」であるといいます。    仮にその通りであるとして、会社の解散を考えるのであれば撤去を前提とした公正価値または通常清算価値、強制清算価値ということになり、継続使用の公正市場価値に比べれば低い水準の価額で把握されます。  もっとも、この中で強制清算価値は流石に取りにくいと思います。強制清算価値は短期間に換価する必要があり、競売などで売却を強制される場合に成立する価値です。誤解を恐れず感覚的に言うのであれば「投げ売り」の状態で、動産の場合は特に低額になるのが通常であるからです。また、財産評価基本通達の評価の原則にも「それぞれの財産の現況に応じ、不特定多数の当事者間で自由な取引が行われる場合に通常成立すると認められる価額」と書かれています。

 少なくとも、強制清算価値は合理的な売買を成立させるための十分な時間は認められず、当事者の範囲が限定的となり、処分自体も強く強制されるため、この場合に求める価値には該当しないと考えることが妥当でしょう。

財産評価基本通達1 (評価の原則)
1 財産の評価については、次による。(平3課評2-4外改正)

(1) 評価単位
 財産の価額は、第2章以下に定める評価単位ごとに評価する。

(2) 時価の意義
 財産の価額は、時価によるものとし、時価とは、課税時期(相続、遺贈若しくは贈与により財産を取得した日若しくは相続税法の規定により相続、遺贈若しくは贈与により取得したものとみなされた財産のその取得の日又は地価税法第2条《定義》第4号に規定する課税時期をいう。以下同じ。)において、それぞれの財産の現況に応じ、不特定多数の当事者間で自由な取引が行われる場合に通常成立すると認められる価額をいい、その価額は、この通達の定めによって評価した価額による。

(3) 財産の評価
 財産の評価に当たっては、その財産の価額に影響を及ぼすべきすべての事情を考慮する。

現在までに入手できた資料、情報だけではどのような前提に立つ価値を求めるのか、自信をもって「これだ」と思えるほどの確証を持てるほどのものは集まりませんでした。 実際の案件があれば即断しなければならないところですが、喫緊ではありませんのでゆっくり研究することにします。

 
 

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