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  • 執筆者の写真Frontier Valuation

機械設備の時価評価活用の場面

機械設備の公正市場価値に関する鑑定評価を行うことが評価人の主な仕事である。

 

しかしながら、我が国において活躍のフィールドは狭い。


米国の場合、リースや保険の付保といったニーズが多いとのことであるが、日本の場合、リースや保険が広く普及してから機械設備の時価評価が始まったこともあり、これらの業界には平場の評価人と呼ばれる保険の損害額の鑑定人制度があり、公正価値評価としてこうした分野に参入することは非常に難しいのが現状である。


また、金融の分野では、不動産以外への担保設定は担保適格性が低いという見方が支配的である。米国ではスタートアップや再生に対し動産担保融資が広く活用され、融資全体のシェアも2割程度といわれているが、日本でこの程度のシェアを得るためには金融業界で革命的なパラダイムシフトが必要で、とても現実的とはいえない。

 

会計上の時価評価についても、減損会計の適用の場合には特に機械設備の時価評価が有効であるものの、その他では税法上の損益会計の残高である簿価が基準となっていることが多い。日本の場合は株主などのステークホルダーへの説明責任が厳しく問われることが少ないため、費用をかけて公正な時価の測定を行う慣行がないことが大きな要因と考えられる。

 

一方で、予想外の需要もあり、官公庁から補助金の申請内容に水増しがないかの審査や、民間企業でも新規投資に際し、投資額とその内容が妥当であるかといった観点から稟議書に付ける資料として評価書を作成したり、意見、見解を求められるケースがみられる。

 

機械設備の時価評価として公正価値を求め、評価書を作成する第三者証明的な業務では残念ながら市民権を得るのが難しいものの、補助金の執行や実際の投資の場面でお役に立てることは我々としても非常に光栄なことである。 ※この記事は2017年7月4日に有限責任事業組合日本動産評価フロンティアのコラムで発表されたものです。

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