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  • 執筆者の写真Frontier Valuation

会社で使っているトラックの耐用年数はどれくらいか~法定耐用年数と実使用年数の相違

更新日:2023年11月10日

企業の再生支援をされている方が、金融機関は貸借対照表に記載された資産の数字をよく吟味せずに使っていると問題提起されていた。 どういうことかというと、貸借対照表の資産の数字は、税法上の耐用年数すなわち法定耐用年数を寿命と考えているが、実際にはもっと長期間利用できるものなので、正しい価値を反映していないにもかかわらず、そうした事情を考慮せずに企業の価値を把握しているということである。


貸借対照表上の資産の数字は未償却残高である

 一般的に、貸借対照表上の資産の数字は「簿価」と呼ばれる。簿価はその資産を想定される使用期間(耐用年数)使用し、想定される使用期間の間、規則的に価値が減少していくものと仮定し、貸借対照表日から使用期間が終了するまでに該当する分に相当する。取得時点から貸借対象日までの分はすでに減価償却の手続によって費用計上されているので、翌期以降に減価償却する分が簿価として残っていることになる。ゆえに未償却残高と言える。

 税法は税の公平負担という大原則から平等性の要望が強く、税法の基準によって手続きの方法が定められている。逆に言えば他の企業との比較においては平等と言えるのであるが、企業によって資産の使い方は異なるので、実態を反映しづらいというデメリットもある。

 それでも、税法上の手続きによる簿価が広く利用されるのは、納税と申告はすべての企業に対して課された義務であり、どの企業においても入手が容易であるためである。

 納税の目的で作られた資料は納税のためには有効であるが、他の目的で使う場合は必ずしも適当であるとは限らない。法定耐用年数と実使用年数は異なるという、資料を使うにあたっての基本のキが忘れられてしまうことはよくあることで、そこが思わぬ落とし穴になっているということだろう。

税法上のトラックの耐用年数は

 一口にトラックといってもサイズや用途は多種多様である。税法ではまず自家用と事業用によって大きく分類している。自家用ではダンプ式トラックを除いて5年、事業用は用途やによって3~5年程度となっている。

 ASAの評価人であれば一般的にASAが会員向けに公開している標準的な耐用年数に関する研究報告の資料を使うであろう。この報告書は産業別さらに用途別で分類した資産の種類ごとに耐用年数が示されているが、トラックに関するものは50以上の項目がある。細かい分析は省くが、おおむね10年程度で設定しているものが多い。

 法定耐用年数の耐用年数については、買い替え需要促進の観点から短めに設定している、あるいは早期の費用化が望ましいといった説を聞くことはあり理由は定かではないが、実態よりかは幾分短めに設定されていることだけは確かなようである。  


トラックの耐用年数と公正価値についての考察

 公正価値評価(時価評価)において「耐用年数」の概念が出てくるのはコストアプローチの物理的劣化の算定においてである。この場合で適用すべき耐用年数は公正価値の評価であれば、法定耐用年数をそのまま使用するのではなく、現実の即した耐用年数を評価人が求める必要がある。上記のASAの報告書をベースに考えることが多いが、トラックの場合、価値を決めるファクタは必ずしも残存年数・耐用年数ではないことに留意すべきである。

 自動車であれば、すべて走行距離メーターがついているのであるから、この走行距離は考慮すべきである。実際にASAのWebinarなどでも、走行距離と取引価格から減価カーブを導出する方法が紹介されたことがある。

 一般的にトラックの寿命としては、走行距離ベースでいうと普通乗用車とサイズに大きな差がない2トントラックの場合は20万㎞程度、中型で40~50万㎞程度、10t以上の大型で70万~100万㎞と言われている。

 国土交通省が公表している「トラック輸送状況の実態調査結果」によれば、1運行当たりの平均距離は普通172km、中型227km、大型347kmとされている。大型車で1日に347㎞走るとして、仮に月に7割の21日間運行すると仮定すると、1か月で7,287㎞、1年で87,444㎞走行することになる。寿命が70万㎞だとすると約8年、100万㎞とすると約11.4年となり、一般的な使用実態からみても10年はそれなりに説得力を持つ年数ではなかろうか。特に評価を行う対象が平均より走行距離が大幅に異なるような場合などは、耐用件数・残存年数ではなく、走行距離ベースで物理的劣化を算定することも一つの方法である。

トラックと青空:イメージ
トラックの寿命はどう考える?(写真はイメージ)

 他方、一般的な寿命が大型で100万㎞と言っても、下手するとその倍走ってもなお現役で活躍するツワモノもいたりする。現役で走って稼いでいる以上はゼロ評価、備忘価格での査定が適正でないことはいうまでもない。  それ以前に動産でもとりわけ移動が可能なもの、具体的に言えば自動車、建設機械、船舶、航空機といったものは市場での取引が活発で、市場価格が付きやすいという特性がある。特に乗用車などは数も多く、車種ごとの分類も容易であるので、減価の傾向もつかみやすい。従って、コストアプローチではなくマーケットアプローチの適用も積極的に考えなければならない。  さらに、車両と収入の関係が明確に結びつくのであればインカムアプローチの適用も可能になってくる。特殊性の高い専用車両でその運行によって安定的な収入がある場合などは適用を検討すべきであろう。  もちろん、評価目的にもよる。特に換金を睨んだ評価においてはマーケットアプローチが最も説得力を持つし、継続使用ということであれば残存価値に重きを置いてコストアプローチの方が説得力を持つことになる可能性もあるだろう。


 もっとも、実際の評価実務でトラックだけが対象になるケースは考えにくい。その場合であっても、かなりまとまった台数の評価になるだろう。時間的制約もあるだろうから、簡便を心掛けつつ最もカレントな価値にアプローチできる手法を考える必要がある。  価値評価には絶対的な正解はないが、実務家として最もバランスよく結果に導かなければならないのが、大量一括公正価値評価のクリエイティブで面白いところである。

 

耐用年数にかかる意見書の作成についてはお問い合わせフォームからご相談ください

 


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