トヨタ自動車が6月に、2026年に発売する新型の電気自動車を「ギガキャスト」と呼ばれる工法を用いて生産することを明らかにした。
ギガキャストは大型の鋳造設備で複数のアルミ部品を1つのパーツとして成型し、巨大な車体部品を作る生産手法である。こうした手法はEV大手のテスラや、テスラ模倣の中国メーカーがこぞって採用しており、既存大手もこの手法を採用するに至ったのが今回である。
ギガキャスト、テスラではギガプレスと呼ばれているものは、巨大なダイカストマシンである。ダイカストマシンとは、金属や合金を高速で溶かして金型に流し込み、鋳造を行う装置のことであり、それほど大きくない製品の生産には利用されてきたが、自動車の成型など大きなものを作るのには不向きとされており、これまでは使われてこなかった。
これを可能にしたのがギガキャスト、あるいはギガプレスという超大型のダイカストマシンであり、型締力は6,000トン以上ある。大型のものを作るにはそれだけ大きな締め付けが必要で、既存の国内最大のものが4,000トンだというからいかに大きいものかが分かる。
金属を型に流して生産すると言うことは、今までのやり方、つまり、パーツを溶接やネジ止めで留めるやり方とは違い、型に金属を流し込むだけで出来てしまうと言うことになるので(但し、仕上げの後加工は必要)、生産のやり方は革命的に変化すると言って良い。
パーツを他の工場で生産して集め、組み上げるといったやり方ではなく、その場で材料から半製品ができてしまうのであるから、パーツを作る工場や機械、運搬するトラックなどは要らなくなる。一方で後は工作機械で行うが、大型の工作機械が必要だ。去年のJIMTOFで門形マシニングセンタの展示が目立ったのがこの影響だったと遅ればせながら知ったところであるが、既にこうしたところにも波及しているのである。
ダイキャストはアルミが使われるのが主で、割を食う形で鉄鋼の使用が減ると見慣れているし、工場の配置もより集約的になり、トラック輸送の需要も減少する可能性がある。
生産効率は向上するうえ、生産コストも減る。またエネルギーの使用量減少もやり方によっては可能である。
今の日本では、労働力不足が顕著で、コスト削減のために人を減らすよりも、労働力不足を補うために省力化を進める方向にシフトしているから、もしかするとあらゆる方面で生産革命が起こる可能性もある。
こうなると機械設備の評価は難しくなる。
生産革命によって機能的な陳腐化が起こる可能性があり、その影響の程度を見極める必要がある。陳腐化と言っても全く無用になるわけではなく、分野によっては有用性が残ってたりと言ったこともあるから一筋縄ではいかない。不動産の分野でも工場の大型化はいっそう進むことになるだろう。
具体的な影響が出てくるのはこの先数年から十数年後くらいになると思われるが、状況の推移をしっかりと観察していく必要がある。
【参照】 トヨタの最新技術が全て集まった日│ トヨタイムズニュース
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