財産評価基本通達の規定で一般動産の価額は、売買実例価額、精通者意見価格等を参酌して評価することが原則と規定されています。
しかしながら、特に稼働中の資産については売買実例価額による評価は困難です。特に据え付けられた大型機械の場合は設置や調整、試運転にかかるコストも考慮しなくてはなりません。
聞くところによれば、あるメーカーが協力工場に生産ライン一式を譲渡しようとしたのですが、既に償却済みの資産であり、ほとんどの構成機械が簿価1円として計上されていたため、税務当局に適正な申告が出来ないという理由から譲渡の断念に至ったという事例があるようです。
平成19年度税制改正により、平成19年4月1日以後に取得をされた減価償却資産については、償却可能限度額及び残存価額が廃止され、耐用年数経過時に残存簿価1円まで償却できるようになったのですが、資産の譲渡の場合に残存簿価を利用して取引を行うことは税務当局が認めないケースもあるようです。税務リテラシーの高い企業では備忘価格のような時価とは乖離した価格での税務申告によるリスクを嫌い、このような判断に至ることもあるとのことです。
他方、機械や設備の鑑定評価によって適正な評価額を求めた場合、その鑑定評価額が機械設備の評価額になるため、償却による節税メリットが享受できます。
機械設備、装置などの時価評価は、説明責任(アカウンタビリティ)や税務、会計のリテラシーの高い企業には特にお勧めします。
我々の目指すところは、不動産のみならず機械設備、装置などの動産分野まで時価評価を行った企業が、企業の社会的責任について実践的に活動していると広く社会から認められ、尊敬されるよう、サービスの価値を高めていくことです 。
※有限責任事業組合日本動産評価フロンティアのコラムの中で2016年1月22日に発表した記事を再掲しています
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