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執筆者の写真Frontier Valuation

日本銀行の企業物価指数2020年基準

日本銀行の企業物価指数は機械設備評価を行う上で一つの重要な指標である。 コストアプローチで新規再調達コストを求める際には、取得価額から傾向法を用いて新規再調達コストを導き出す方法があり、このプロセスで最も利用される。 日銀の物価指数に限らず、多くの指数(インデックス)は一定の時点を基準とした指数で現され、基準となる時点は数年に一度改定される。 日本銀行の企業物価指数は2017年から2015年を基準とした指数が使われてきたが、昨年2022年の6月以降は2020年基準の数値で発表されるようになった。したがって基準感をまたぐような長期の分析を行う時は、指数の換算を行う必要があり、経年の長い資産になると複数回の換算が必要となる。現在のようなインデックスが整備される以前のものは戦前からの大まかな指数を使ったこともあったが、最近はあまりお目にかかってはいない。 基準が変われば換算しなければならないことに加えて、同じ資産を再評価しなければならない場合は、さらに厄介なことになる。 というのも、基準の改定と同時に品目の見直しも行われることになり、そうなると過去の評価との整合性という厄介な問題が起こってくる。 2015年基準から2020年基準の改定でも品目の入れ替えが行われており、廃止になるものや細分化されるものもある。 前年の評価で説明性の観点から2つの資産の該当品目を意図的に分けたものの、基準品目が廃止になってしまい、同じ品目にせざるを得ないと行ったケースもあった。 突っ込まれて根拠を問われた時に、評価の信頼性を疑われることになってしまいそうで、あまり気分が良くないが、こればかりは自分で調査するわけにもいかないので、変更に従うしかない。

基準品目の廃止、新設は意外に多い。

とはいえ、こういう時は基本に立ち返るチャンスでもある。 日本銀行のWebサイトでは「企業物価指数(2020年基準)の解説、および関連資料」としてとしてまとめられており、PDFファイルでダウンロードすることができる。 上述の異なる基準の指数をつなぐ方法についても解説があり、品目調整の説明もある。品目調整は機能的退化にも関わる項目であるから、理解しておいた方がよいであろう。


ASAの評価原論(POV)でも指数について教えられるが、重要なことをしっかり網羅しているものだと、日銀の資料を読んで感心したものである。 ちなみにPOVでは指数の限界も教えられている。上述の評価の信頼性を案ずるジレンマはこの指数の限界から来るものである。

もう一つ、忘れてはならないのは「指数は最後の手段である」ということである。

当時の講師から聞いた話で印象に残ったのは、本来は指数に頼りすぎるべきではないが、現実では世界中の多くの評価人が指数に頼ってしまっていることを憂慮しているという話だった。

大量一括、スピードとコストに引っ張られてしまい、指数に頼りすぎてしまっているのであるが、指数に頼るなら、せめてそれなりの勉強をしなくてはならないだろう。

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