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  • Hideyasu Matsuura

廃業や事業所閉鎖時の機械設備時価評価

更新日:2021年8月19日

によれば、2025年までに、70歳(平均引退年齢)を超える中小企業・小規模事業者の経営者は約245万人となり、うち約半数の127万(日本企業全体の1/3)が後継者未定で現状を放置すると、中小企業・小規模事業者廃業の急増により、2025年までの累計で約650万人の雇用、約22兆円のGDPが失われる可能性があるとされています。  このため政府ではM&Aを推進する方向に舵を切っていますが。M&Aに対する経営者の否定的な見方が根強いことや、企業は規模が小さくなればなるほど経営者の一身専属的な色彩が強くなるため、M&Aには馴染みにくいことがあり中小企業の廃業増加は避けられないという見方が有力になっています。

 最近ではDX(デジタルトランスフォーメーション)の波により、企業経営の再構築の流れが加速して旧式の設備の淘汰が進む可能性があり、大企業などでも既存の事業所の廃止や資産の処分は増えるものと考えられます。  工場や事業所の廃止による機械設備の処分の場合には、清算価値を求める鑑定評価を行うことになります。  資産を処分する場合、中古品として市場性のあるものは中古市場で売却、市場性のないものは部品取りに回って部品として再利用する、あるいはスクラップになってマテリアルとなって再生される、それも適わない場合には産業廃棄物として埋め立てなどの最終処分がされるかのいずれかになます。清算価値の鑑定評価は評価人が処分される資産をリストアップし、市場性を判断してしますが、この場合は回収価値を最大化することを念頭に置いて作業を行います。

 一方、近年では地球環境に対する危機感の高まりを受けて持続可能な循環型社会をつくること求められています。つまり、廃棄物になるよりはスクラップや部品取り、中古品として使えるなら中古品で使える方がより循環型社会にマッチします。  先日、日本資産評価士協会のセミナーが開催され、マテリアル事業を手掛ける会員のプレゼンテーションがあり、循環型社会への対応といった観点から、会員間で連携して清算価値を求める鑑定評価への対応力強化を図っていく方向性が打ち出されました。    最近はM&Aに際しての機械設備の公正価値評価についてご相談をいただくことが増えています。M&Aの場合の評価は清算価値ではなく、設置済資産の評価となり、価値のヒエラルキーでも清算価値より通常は上位にある(つまり評価額が高くなる)ため、もちろん、M&Aによって事業が継続できるのであればそれが最善といえます。  機械設備評価人の使命はストックの価値の最大化であり、評価の作業や事業計画のアドバイスを通じてその使命を実現すべきだと考えています。  機械設備の処分に広く機械設備評価の知見が活かされて、低迷する日本経済の底入れに寄与できたら幸甚です。ぜひご活用ください。

 
 

フロンティア資産評価研究会 松浦 英泰

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