金融分野に幅広くアンテナを張り巡らせるべきであるが、なかなか勉強外気届かないことが多い。昨夜もそれを痛感した。
先晩放送されたNHKのクローズアップ現代「 東証10連休 “令和マネー”はどう動く?」の中でちょっと気になることが紹介されていた。
それは「CLO」というものである。
野村證券のサイトに掲載されている証券用語解説集では、次のように解説されている。
CLOとは Collateralized Loan Obligationの略称で和訳はローン担保証券。資産担保証券の一種である。金融機関が事業会社などに対して貸し出している貸付債権(ローン)を証券化したもので、ローンの元利金を担保にして発行される債券のことをいう。 金融機関にとっては、元来流動性の劣る貸出資産を、ローンより市場性の高い債券の形態にすることができるので、より機動的に資金を調達することができるというメリットがある。 実際には、金融機関がローンを特別目的会社に譲渡し、特別目的会社が債券を組成し、投資家がこれを購入する。そして、ローンからの元利金を投資家が受け取るという仕組みが一般的である。 CLOは、シニア債・メザニン債・劣後債といった支払優先順位の異なる数種類の債券が組成される。ローンからの元利金は支払優先順位の高い順に支払われる。よって発行体が同一であっても、階層の異なる債券ごとに、それぞれ異なった格付けが付与されている。CLOは、リスク・リターンの選好が異なる様々な層の投資家に対して、投資機会を提供することができ、個別企業の発行する債券にはない投資機会を提供することができるとされている。
非常に難しい解説であるが、簡単に言えばハイリスク・ハイリターンの金融商品である。 金利はリスクが高いつまり、取りっぱぐれる可能性が高いほど金利は高くなる。なくなってしまう可能性が高いものに融資や投資する人は通常少ない。従って、融資や投資をしてもらうためには見返りを多くする必要がある。だから、リスクの高い融資や投資には高い金利がつく。 融資や投資する側としても、リスクを最小にすることを考える。融資などは担保を提供して貰い弁済できなくなった場合に備える。債券の投資などの場合は複数の債券などを組み合わせて投資する。投資信託等がまさにそれである。 CLOはリスクの高い債券を組み合わせた金融商品である。組み合わせた債券のいくつかはデフォルトになっても、生き残った債券の利益で全体的にプラスになればいいということである。
この話を聞いて真っ先に思いつくのが、サブプライムローン問題である。 サブプライムローンはリスクの高い住宅ローンであり、これを証券化した債券を組み合わせた金融商品が組成された。ところが、その内容があまりにもひどすぎたことと、リスク分散の過程で様々な金融商品に紛れ込んでしまったため、世界の金融を揺るがすようなインパクトを与えてしまった。 問題は日本の金融機関が行き場のなくなった資金をCLOに注ぎ込んでいるということであり、しかも積極的であるという。 調べて見るとこんな記事も出てくる 【日本】金融庁、大手7銀行のCLO投資状況を一斉調査。米国では2018年後半から価格下落傾向 (Sustainable Japan)
https://sustainablejapan.jp/2019/03/03/fsa-clo/37789
CLO投資が映す緩和の限界 債務の膨張、終幕の足音も:日本経済新聞 https://www.nikkei.com/article/DGXMZO42242410Y9A300C1000000/ 思い返せばリーマンショックが起こる少し前くらいからサブプライムローン問題の危険性がささやかれていた。金融危機を起こさないための予防策は当時より強化されていると言う意見もある一方で、金融機関のコベナンツ(融資条項)が緩くなっているという話も聞く。
危機だと触れ回るべきではないが、危険性があることは認識しておいたほうがいいだろう。
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