アップル社が12日に新型の「iPhoneXS、iPhoneXS MAX」などを発売した。
同時に旧モデルであるiPhone7や8の価格も改定した。
iPhoneが登場した当初は単一モデル、単一カラーで差別化は容量くらいであったが、選択肢は増えている。
以前読んだ経営コンサルタントの本にiPhoneがマルチカラー化する時はスマートフォン市場が
成熟した時と書かれていたが、新型iPhoneに対する熱気も以前よりは冷めた印象は拭えず
まさにその分析通りであった。
新旧モデルが併売していると言うことは、評価に携わる者として新規再調達コストのサンプルとして
格好の材料であり、ありがたいことである。
今回、iPhoneSEはカタログ落ちしてしまったが、iPhone7は継続とのことで
早速iPhone 7の公表価格の推移をグラフにしてみた。
iPhone7の128GB、7Plusの32GBは2016年の発売以降はほぼ直線で値下がりしており、
最上位の7Plusの128GBとiPhone7の32GBは発売後1年とその後今年にかけての値下がり幅は
小さくなっている。
ここからは推測になるが、iPhone7Plus 128GBの値下がり幅縮小は、一種のプレミアムがなくなった
ことによるものかもしれない。iPhone7Plus 128GBは2016年の発売時には最上位機種であり
フラッグシップモデルであったが、新機種の発売によりそのプレミアムがなくなったから
値下がり幅が大きく下がったのでは?とも考えられる。
一方、iPhone7 32GBの値下がり幅縮小は少々不思議である。
ただ、あえて推測するならば、製造コスト上の限界なのかもしれない。
半導体などは容量が次第に拡大する傾向にあるが、発売後しばらくは大きく値下がりし、
その後は値下がりが緩やかになることが多い。おそらくその辺が関係しているのかもしれない。
よく見るとiPhone7の128GB、7Plusの32GBはストレートに値下がりしてはいるものの、
少しだけ価格差が広がっている。ひょっとすると32GBのメモリが関係しているのかもしれない。
こうしてみると、大きな括りでは同じ物でも、価格の動向は全く同じではない。
取得価額を単に価格指数で割り戻しただけで安易に新規再調達コストとするのはリスキーである。
大量一括の評価においては一つ一つ微に入り細を穿つようなことは困難であるが、
やはり、個別の資産にある程度気を配ることを忘れてはいけないのではなかろうか。
2018.9.14
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