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破産処理の現実 -在庫評価の価値理論から考える

破産処理にかかわったという弁護士から話を伺う機会があった。

 

酒類の販売会社で多数の在庫を抱えて倒産し、その在庫を換金処分することになったという。 破産会社の資産の一部を利用する形で大幅なバーゲンセールを実施し、2日で処分を終えたという。

早期の換金処分と配当が求められる破産案件ではこうした処分になるのであろう。

しかしながら、大幅に割安な商品が出回れば正規の流通品のシェアを侵食する形になりデフレ圧力が強まったり、回収額も低くなるため貸倒金額も大きくなる。つまり銀行などの金融機関も融資には及び腰になり、金融の停滞も招く。

 

価値の概念として、破産や清算のように定められた期限までに処分を強制される場合は、清算価値(Liquidation Value)にあてはまる。 更に多くの買手に情報が行き渡るために十分な期間が与えられる場合には通常清算価値(Orderly Liquidation Value)、換金を急ぎ、短期で売却を強いられるケースでは強制清算価値(Forced Liquidation Value)があてはまる。

回収額を増やしたいのであれば、当然に通常清算価値になるような処理の仕方を目指すことになる。米国の場合はその点が徹底していて処分期間を多めに取り回収額を最大化できるスキームが組まれるという。

もちろん処分期間が長くなればいいというわけではない。処分期間が長くなれば処分コストもそれに比例して大きくなり、純回収額が減少してしまうため、回収額を最大化できる適正な期間を設定する必要がある(こうした場合評価実務では回収見込額から回収コストを控除した純清算価値:Net Orderly Liquidation Valueとして求める)。米国ではこうした換金のスキームづくりで評価人の知見が生かされると言うが、日本ではあまり重視されていないのが現状である。

 

最近、事業性評価を重視して融資を増やそうと金融庁は目論んでいるようである。

しかし、ABLで失敗した経験から言えば成功する確率はごく低いとみている。

金融マンと話をしていてまず話が出てくるのが回収のことである。「在庫を担保を取っても回収ができない」そう言われて話が進まなかった苦い経験ばかりだ。だから担保に頼ってはダメという結論に達したのかもしれないが、担保を高く処分するスキームを作る努力をせずに目利きや勘に頼れというのはいささか筋が違うのではないかと感じる。  

幸い、現在は倒産件数が少ないものの、そのうち不況になり倒産が増えることは間違いない。

そうなれば倒産品が流通して不況に陥るのは目に見えている。付加価値を増やすことそれを極力適正な価格で取引できるマーケットの醸成が重要と考えるが、どうも少数意見になってしまいそうな風向きである。

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