インターネット上で取引される「ビットコイン」などのデジタル通貨があります。 財務省や金融庁はこうした仮想通貨について、商品券等と同様に決済手段のひとつに位置づけ、取得時の消費税を非課税とする方向で検討している旨が、先日報道されました。
「ビットコイン」はマウントゴックス事件のように消失してしまったり、投機的取引の対象となったり価値の保蔵手段や尺度を示す手段としては考えにくいのが現状です。
しかしながら、こうした流れが永遠に続くとは考えにくく、世界の通貨のスタンダードになる可能性も全くないとは言い切れません。利用者保護のための制度が整備され、より使いやすくなれば、中央銀行が発行する通貨より好んで使われるようになる可能性もあります。
ASAの資格審査においては、IVS(国際評価基準)やUSPAP(米国鑑定業務統一基準)に基づいたチェックリストがあるのですが、その中で「評価の中で表示されている通貨について、適切に明示されているか?」という項目があります。これは、公正価値評価において価値尺度としての通貨の役割が重要であることを示しているともいえます。ですから、評価人は通貨についてもある程度考える素養を持っている必要があるのではないかと思います。

業務上扱う対象が比較的信頼性の高い通貨によるものなら問題ないと思われますが、そうでない通貨が媒介手段となっている時にどう扱うかを考えなくてはならない時が遠くないうちに来ることも覚悟しておいた方がいいかもしれません。 信頼性の高くない通貨は評価上は使わなかったとしても、調達の際に決済手段として使われ、それが取得価額になるかもしれませんし、取引事例が信頼性の低い通貨建ての事例になるかもしれません。
日本で仕事をやっていれば日本円が当然だと思うかもしれませんが、もしかするとそんなのんきなことも言っていられないのではないかと、報道を見て感じました。
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