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執筆者の写真Frontier Valuation

IoTとAIで仕事がなくなったら?

産業界を中心に最近は IoT(Internet of Things) モノのインターネット化が盛んに論じられている。

現場を見てきた経験から言うと、おそらく予想外に速いスピードでIoT化は進むのではないかと考えている。 インターネットとは縁がないような重厚長大タイプの工場でも、製造ラインが組まれているような工場では当然ライン全体でコントロールがなされているから、機器は単独ではなく 他の機器と強調して動いているし、NCで制御される機械も通信に対応できればインターネットに接続することはそれほど難しいことでもない。 NC制御装置のレトロフィットはコストがかかりすぎると否定的な声も多いが、NC制御装置を交換した機械もそこそこ存在しており、ハードルはそれほど高くないのではないかと思われる。

さらに、インターネット対応だけでなくAIも組み合わせれば、人間の労働力を必要とする分野が大幅に狭くなるとも言われ、週刊誌などで「この先〇年でなくなる仕事はこれだ!」 等という記事の見出しが躍っている。

おそらく、機械設備の評価もビッグデータを統計的に分析すれば要らなくなると思われるので、廃れる仕事の代表格ではないだろうか。(評価はサイエンスではなくアートであるという見方もあるが)。

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しかし、どの仕事がなくなるかと言うことより大切なのは、人間がこの先どう暮らすかを考えることなのではないか。

人間が働くということは、経済的には所得の分配という機能があるが、個人が社会とかかわる接点の機能もある。 所得の分配機能が喪失するという点においては、既にベーシックインカムという議論が世界中で始まっており、スイスでは国民投票で導入が否決されているようである。

ただ、いずれこのベーシックインカムも所得の再分配機能が低下した資本主義社会では、社会経済を維持する上で避けて通れないものになるのではないかと思われる。 一方、個人と社会の接点をどう確保するかと言う課題は手つかずのように思う。

実は評価作業を担当して追いかけきれずに歯がゆい思いをするのが、「のれん」や「暗黙知」のような数字にすることが難しい知的資産である。

貨幣額では表示しきれない価値にどう向き合うのか、評価する立場として常に考えてはいるのであるが、なかなか最適解に到達できないでいる。


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