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  • 執筆者の写真Frontier Valuation

BEVはテスラ・BYDとトヨタの戦い?

脱炭素の動きで、ガソリン車がEVとりわけBEV(Battery Electric Vehicle:バッテリに充電した電力でモータを動かして走行する車)に取って代わると言われているのはどなたでもご存じなはずである。 世界的に勢いづいているのはアメリカのテスラモーターズや中国のBYDといった新興メーカーである。一方、ガソリン車で世界を舞台に競争を展開してきた老舗メーカーは旗色が悪い。 テスラやBYDが強いのはBEVの生命線である電池の面で先進的であることが大きい。こうした面で老舗メーカーに対して優位に立っているのであるが、それにとどまらず、今までの車づくりに対しても大きくメスを入れている。 旧来の自動車製造工程では、下請けのサプライヤーから部品を調達して組み上げるという方法がとられていたが、テスラは自動車のボディを大型のプレス機で一体製造することによって部品数や工数を削減することに成功した。さらに電気自動車は仕組みが単純でタイヤとモーター電池がシャーシに乗っていれば自走できるため、老舗自動車メーカーのように車をコンベアに乗せて流れ作業を行うのではなく、車自体を自走させて流れ作業を行う方式を採用し、工場ラインの設備投資を圧縮することに成功している。BYDもこの手法を取り入れ、価格競争力を武器にシェア拡大を目指しており、日本でも全国各地にショールームを設けて販売活動に本腰を入れ始めている。 老舗メーカーのトヨタもこの手法を取り入れることにしており、今年の夏に自社のメディアで新しい製造手法について広報を始めている。とはいえ、一歩先に生産革新を実現し、すでに商品を市場に投入しているテスラやBYDに比べ、トヨタが新しい製造手法による車を新商品として市場に投入できるのは3年後になると言われ、その3年間が勝負だという見方もある。 とはいえ、疑問に感じる点もある。電気自動車はガソリン車など内燃機関によって走る車よりも構造が単純であり生産が容易でガソリン車では存在した技術による参入障壁が電気自動車では低くなるとされている。 そうなると思わぬ伏兵が現れ、世界の熾烈なシェア争いに参戦してくることもありうるのではなかろうか。 興味深いのは、モーターである。 電気自動車の最大の課題は電池の問題である。電気自動車が話題になり始めた2000年代は蓄電池の技術が成熟しておらず、航続距離を左右する電池容量や蓄電池に電気を供給する充電設備の問題がBEVの使い勝手を左右し、これらの問題をいち早く克服した企業がBEVの世界で覇権を握ると考えられてきた。 電池もまだまだ改良の余地はあるものの、専門家の間ではともかく、一般に語られることが少ないのが、モーターの問題である。 日本国内にはモーターに強いメーカーがある。有名なのがニデック(旧日本電産)である。ニデックは積極的なM&Aで製造業での版図を拡大しているが、本業はモーターである。こうした積極経営を推し進めてきたのが最高経営責任者の永守重信氏である。その永守氏があるメディアで語っていたのを見たのだが、EVの動力源はモーターであり、モーターも航続距離を改善するための重要なファクターであると力説していた。 確かに、モーターの効率が良ければ少ない電力で走行することが可能になり、小さな容量の充電池でも同じ距離を走ることができるようになる。また、電池の容量が小さくて済むのであれば、充電にかかる時間も短縮できる。 ガソリン車の分野で効率を上げると言ったらまずはエンジンの話が出てくる。車の動力を生み出すのはエンジンであり当たり前と言えば当たり前である。しかし、ことBEVの話になるとモーターの話があまり出てこないのは不思議な話である。 また、ニデックが工作機械メーカーを次々と買収し、ほとんどの種類の工作機械を自社グループで供給できるほどになったというのであるから、モノ作りの素地はある程度整っているだろう。ひょっとすると、業界を垣根を越えてニデックが自動車業界に進出したり、あるいは少し畑違いの業界からダークホースが現れる可能性も皆無ではないだろう。 興味をもってBEVの動向を調べてきてはいたが、テスラVSトヨタ、BYD VSトヨタの構図の話はすでに食傷気味の感がある。「それ以外」の可能性も考えうる商品であるがゆえに、ダークホースにスポットライトを当てた情報が出てくることをひそかに期待している。


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