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Hideyasu Matsuura

加速するM&Aビジネス

更新日:2021年6月18日


自然発生的なマーケット

現在のM&Aマーケットは例えば不動産マーケットのように規制やルールがしっかり定められた状態ではなく、未だに自然発生的なマーケットの状態といえる。M&Aの仲介事業への参入に当たって許認可は必要なく、従事する人の能力も問われない。

ネットで検索してみただけでマッチングサイトは多数出てくるから、活動している業者の数も相当数に上るだろう。

公的セクターのサービスも

 日本のM&Aビジネスの特徴として公的セクターの存在が海外とは異なるという点を挙げる意見もある。各県には「事業引継センター」という経済産業省の事業によって設立されているセンターがあり、こうした公的な機関の存在が、民間のM&Aサービスの発展を阻害しているとする意見もある一方で、事業の引継の場合、雇用維持という社会的要請がある一方で、企業経営においては複雑な人間関係が絡むこともあり、長い時間をかけて話し合いと調整を行う必要があるから、民間の事業者では採算の問題からサービスが行き届かないと指摘する見方もある。


サービスの質はどうなのか

 M&Aにかかわった弁護士に話を伺う機会があったのだが、弁護士の目から見て危ういM&A仲介も多いという。契約を急ぐあまりろくに調査や説明をしなかったり、そもそも仲介は双方代理類似の行為だから、利益相反が生じやすく、買手ワンサイドになって安値で売買されることもあるという。 ルールの整備が全くなされていないことを考えると、サービスの質は事業者によってマチマチというのが現状ではなかろうか。


バリュエーションの観点から

 それほど数は多くないが、機械設備評価でM&Aに係わったことは何度かある。 実際のところ、中小企業、特に小規模、零細の事業所のM&Aでは鑑定評価書を作成するような必要はほとんどないと見受けられる。ただ、バリュエーションの観点からのアドバイスは必要な点が多く、当事者の理解を得やすくするためのバリュエーションの観点やデューデリジェンス的視点からのアドバイスは時に高い有効性があると考えられる。  一方、機械設備の公正価値評価に関して言えば課題は多い。評価の中で重要になるのが、コストアプローチの中の経済的退化の見積になるが、このステップにおいては事業評価の専門家との連携が欠かせない。事業評価も日本国内では機械設備評価同様、評価制度が手つかずの状態であること、また、事業評価と機械設備評価の連携も双方の分野の考え方の違いから必ずしも容易ではないといわれる。

 

 M&A関連のビジネスは今後大きく発展、加速すると考えられる一方で、対応しなければならない課題もまだ多いといえよう。



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