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電力の取引価格「ほぼ0円」で電力料金も安くなる?

最終更新: 5月20日

原油に続き電力でも市場価格がゼロ円に?

電力の取引価格、頻繁に底値の「ほぼ0円」…緊急事態宣言の全国拡大後に「異変」(読売新聞オンライン)2020/05/10 22:22

先月、原油価格が取引市場でマイナスになったというニュースに衝撃が走ったが、電気でも同じことが起こっている。 電力のスポット市場で事実上買い手がつかない0.01円の価格がついているという。


但し、これをもって、「再生可能エネルギーは終わり」「電気代がゼロになる」というのは誤解である。

電力の市場にはいくつかのタイプの市場が存在し、「スポット市場」というのは需給調整の役割を果たす市場である。

電力はその特性から発電(量)と負荷(使用量)のバランスが取れている必要がある。 したがって需要に応じた供給が必要であるが、需給の予測はある程度つくため、多くの電力は発電事業者が需要家に対しまとまった電力を供給する卸電力市場で取引される。 ところが、実際の利用状況と予測の間にはどうしても開きが生ずるので、需給バランスを調整するための電力も必要になってくる。 この需給調整のための電力の取引市場がスポット市場である。


したがって、スポット市場の価格がゼロであっても、実際の電力供給は卸市場での取引がメインであり、こちらは相応の価格で取引されるから、発電事業者の収入がゼロになるというわけではない。いわゆる「遊び」の部分が不要であるからその部分の需給が崩れてゼロになっているということである。


再生可能エネルギーは導入当初の固定価格買取制(FIT)が撤廃されて、徐々に入札による市場での取引に移行している。 導入を急ぎたいフェイズではFITにより高い収入をいうインセンティブを与えて、新規参入を促す政策が有効であるが、FITによる高い電力価格も最終的には電気の需要者が負担することになるから、そのままFITを続けていけば電気代が高騰することになりかねず、現在は市場原理の導入により適正な価格にもっていこうという政策に舵が切られている。既にメガソーラーは入札制に移行しているが、低圧の太陽光発電所にも市場原理が徐々に適用される見通しである。

「容量市場」の導入

しかしながら、不安定な市場価格に収入が左右されると投資採算価値が見通せず、新規参入が妨げられてしまい、長期的には供給力不足に繋がったり、スポット電力の割合が高くなれば、需給の逼迫期に電力が高騰する恐れがあるから、日本では2020年に将来の供給力を取引する容量市場が開設され、2024年に本格的に導入される見込みとなっている。 容量市場の概要について 2019年3月1日 電力広域的運営推進機関  https://www.fepc.or.jp/library/kaigai/kaigai_topics/1257470_4115.html


一方で、再生可能エネルギーは太陽光や風力など自然条件に左右され、供給が不安定であるという特性はどうしても残る。スポット市場でゼロ円になった電力であるが、特定の時間帯の話であり、それ以外では価格がついている。 従って、供給者サイドは自家消費、あるいは蓄電によってより高く電力が売れる時間帯に供給するする動きが出てくると考えられるから、蓄電池やキャパシタなど蓄電施設の動向、自家消費ができるビジネスモデルの重要性も増してくると考えられる。 電力や水道といった供給インフラが市場原理だけでは最適化が難しいため、やや複雑な仕組みになっている。一件難解であるが、その気になって探ってみると興味深いものである。


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