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  • 執筆者の写真Frontier Valuation

不動産取引における心理的瑕疵

更新日:2020年2月18日

2月3日に国土交通省が 「不動産取引における心理的瑕疵に関する検討会」を開催すると発表した。第1回目の会合は2月5日に開催されるという。 取引対象の不動産において過去に死亡事故が発生した事実など、いわゆる心理的瑕疵が近年問題になっており、検討会の開催を通じて心理的瑕疵に係る適切な告知、取扱いに係るガイドラインの策定を目指す見通しである。

今回対象とされているいわゆる"心理的瑕疵"ではないが土壌汚染に対する「心理的嫌悪感等 」(スティグマ)については2003年から不動産鑑定評価基準でも盛り込まれているが、概念的・定性的な指摘に留まり、具体的な算定方法については明示されてはいない。 つまり、心理的瑕疵・嫌悪感というものが具体的にどういうもので、どういう影響を与えるものか、それが物の価値に与える影響がどの程度か誰もが納得できる数字にすることは至難の業ということである。 心理的瑕疵の範囲がどこまでなのか、火災や自殺、殺人事件なのか、いわゆる孤独死なども入るかも知れないが、病死した人まで考慮に入れるのか。はたまたファミリー向けのマンションなどで前に住んでいた人が離婚している物件は縁起が悪いから心理的瑕疵だということも言えるかも知れない。

その家自体で事件事故等が発生したものでなくても、「あの土地を買った人はみんな不幸になっている」といった風評が立つ土地もある。さらに、「戦国時代に古戦場だった」などといったことまで気にし出せばもはやキリがない。不動産選びで心理的瑕疵物件の消去法で消していったら全部消えてしまったなんてことになるだろう。 ガイドラインは「現実的な落としどころ」でまとまると思われるが、全ての人が感じること、考えることを網羅することは不可能だから、全ての人が100%納得するものにはおそらくないだろう。心理的瑕疵に対する認識が強まれば、取引を行う場合、売主・買主のコミュニケーションが重要になることはまちがいないだろう。

 


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