先日、日本資産評価士協会(JaSIA)のレポートライティング講座に参加してきました。
米国鑑定士協会の評価人ライセンスを得た場合、5年間に150時間相当の研修を受けることが資格更新の要件になっていますので、このようなセミナーに積極的に参加して勉強する必要があります。
このレポートライティングの講座は特殊な資産の評価がテーマでした。
基本的に機械設備の評価人といえども、全ての機械設備に対して精通しているわけではありません。
評価対象となる機械設備は実に多種多様ですし、ひとつの工場をまるごと評価する場合には様々な機械を評価しなければなりません。
中には、他にはないような特殊な機械・設備や自作の機械で市場にはないようなものも対象になります。
こうした資産の評価には評価人の創意工夫、そして時間と手間を惜しまないこと必要になります。(当然クライアントにはその分コスト負担をお願いせざるを得ません)。
特殊な試算の評価もさることながら、ある意味特殊な状況での評価という点で非常に興味深い話もありました。
それは、"新古品"の評価です。
通常、買ってすぐのものは取得原価が分かるのでそれでいいと言うことになります。
しかし、何らかの事情で、取得してすぐのものを評価しなくてはならない場合や、使用に供されずに死蔵品となった資産を評価する場合がありますが、こうした場合、公正市場価値という概念で考えると取得価額で評価すればいいということにはならないのです。
俗に「新築マンションに一度入居したら7掛け」「新車だけどもう乗っちゃったから2割引」などと言われることもありますが、こうした、"新古品"は減価の対象になります。これを「ペナルテ ィ・オブ・オーナーシップ」といいます。
通常であれば新品を手放すことはあまりありませんから売却市場ではある程度のディスカウントはせざるを得ませんし、一度他人に渡ったものということで、純然たる新品とは違い「新品に近い中古品」になりますので商人から直接購入するのとは違い、少し対象物に対する信頼度が落ちることも影響するのでしょう。
米国人の講師もこうした減価はあると認めていますので、世界的にもこうした価値の見方はあると言ってもいいと思います。
どのくらいの減価になるかは、ケースバイケースです。対象物がどんな物かにもよりますし、経過した時間の問題もあると思います。例えば、他人が一回はいたパンツを2割引で買いたいと思うでしょうか。
評価人は市場のデータや精通者の意見を集めて適正な減価額を決めてゆきます。
実は単純なようで意外と奥が深いのが公正市場価値評価の世界です。
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